金髪君に散々貢いで貰ってたら、いつの間にか形成逆転されかけた話。【鬼滅の刃】

伍、『ざっくばらん』 ページ6

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例えば私が「ワンと鳴け」と言えば彼は鳴くのだろうか。……どうでも良い疑問ばかり頭の中に浮かんだ。

忠犬善逸君。立派な大型犬……想像してみる。彼はやはり「わん」と鳴いている。私の想像世界の君はとても利口な犬。愉快だな。


ちょっとだけ頬を緩ませて笑えば、彼は「やっぱりAちゃんは笑顔が似合うね！」と嬉しそうに笑んだ。君ってば、そんな子に心の中で犬扱いされてんだぜ？鈍感な子だなぁ全く。



彼の隣にすとんと腰を下ろす。

すると横から「Aちゃんも食べる？」と三色団子を１つ差し出された。
……そういやあの後何も食べずに来たんだっけ。



「有難う。頂くね」



お腹の虫が空腹に気付いて間抜けな音を出すより早く、彼から団子を貰って一口食べる。


一応彼の前では不思議な雰囲気を纏う儚い少女(笑)の振りをしているので、設定を壊さない為に如何なる努力も怠らないつもりだ。

お腹鳴らすとかアホの子やん。作り上げてきた印象が全て上塗りされちゃうやん。彼の私に対するイメージが「儚げな美少女」から「腹ペコ食いしん坊ちゃん」にシフトチェンジしてしまう。そ、そんなのゼッタイダメダー！



「………Aちゃん、そのぉ……」

「ん？」

「これ、良かったら……！」



脳内で阿呆な事を考えてた矢先、隣の彼が薄汚れた茶封筒を差し出してきた。
少しの静止後、私は笑みを浮かべた。



「いつもごめんね」




引き攣っていないだろうか。上手く笑えているだろうか。
心配になりながらも、彼から其れを受け取った。



「いッいや、謝らなくて良いよ！俺が勝手にやってる事だしっ」

「……こんなお金、何処から仕入れてくるの？」

「…………色々と、えへへ」



彼の目が初めて逸らされた。成る程、危ういとこから貰ってるのか。察した。

だからといって、何かを言う訳でも無いけど。


は〜〜お金だ〜〜大正時代で流通してるモノだし物価も訳分かんないけど兎に角有り難え〜〜おっと、

にやけかけた頰をぺん、と叩いた。危ねえボロが出るとこだった。
「えっ今の音何？」と不思議そうにこちらを見た彼に「そんな音した？」と惚けた振りをする。



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