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圓玖、『行ってきます』 ページ25

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そういえば、彼の言う私を「預ける」場所とは何処だったか、聞くのを忘れていた。











「______善逸君。ここからは1人で行くよ」





色んな感情が爆発した宿から出て、黙〜〜って2人で歩いていた最中。私はそう言って、善逸君の手を離した。



「君は彼処で待っててほしい」



彼はこっちを見た。
目が合ったので、にやぁ……と笑ってみる。



「……Aちゃん、平気?」

「ウン。全然平気」



いつもの通り。
私たちが貢ぎ貢がれの密会していた、あの道。



ここから先は、私の……嘗て私が過ごした、鳥籠(いえ)が、ある。



……………普通に「嘗て」って言ったけど、つい最近まで居たんだよな。あの宿屋での出来事が大き過ぎてやばい、古い思い出みたいになってる。

ちょっとだけ、心臓がばくばくと音を立てる。鼓動が早くなった、また彼処に戻るってそれは………でも、これは私の問題だ。これは絶対私がやらなきゃ駄目なの。これは私の、私にしか、


ぎゅっと両手を握り、目を閉じて、無意識に乱していた呼吸を整えるために息を吸い、吐いた、



そしたらぽん、と背を叩かれた。
無意識に猫背になっていた背がぴん、と伸びた。



「ッ、」

「Aちゃん。確り」

「……、うん」

「俺、待ってるから。あの茶屋で、君のこと」

「……うん、」



善逸君はあの優しい笑みを浮かべていた。
目を瞬かせ、少し下を向き、そして彼の顔を見て、自分の頰をぐぃぃ、と引っ張る。



「善逸君。私、笑えてる?」

「……笑えてる。可愛いよ、Aちゃん」

「えへ、有難う」



なら、もう大丈夫だ。
きっと、進める。


これ以上動く事を躊躇した足を、一歩、前に踏み出した。



「……行ってくるぜ、善逸君」



敬礼のポーズを取って、彼にバチコン!とウィンクをしてやる。
彼はキョトンとしていたが、直ぐに笑顔を浮かべた。


太陽のような、温かい笑顔。



「行ってらっしゃい」





去り行く私へ、君は手を振った。



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【 善逸君はぴば! 】*壱!→←圓捌、『縛られる』



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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , トリップ   
作品ジャンル:恋愛
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時

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