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「あ、あったー。やっぱどっこも混んでるね、立ち食いさせるとこだったわ」
そこら辺の椅子とかテーブルはは全部埋まってて、やっと見つけた隅っこのベンチ。木陰にある何でもないそのベンチは落ち葉が乗っていて、佐久間くんはそれを払って座りな？って私を促した。
「よいしょーっと、この大学無駄に広いから疲れちゃうね。最初どっち食べるー？」
「……じゃあ焼きそば」
「はい、半分こって言ったけど好きなだけ食べちゃっていいからね」
割り箸と焼きそばを私に渡して、自分はたこ焼きを膝に置いた。いただきまーすって丁寧に手を合わせてから一口ほおばると、うま！って。そんな姿を見ていたらお腹が空いてきた。朝急いでたから何も食べてない。
私と焼きそばを口に入れて、小さくおいしって呟いた。
「別にいつでも食えるけどさ、なんかこういう時の屋台飯って美味しく感じるよね〜」
「ん、まぁわかる」
「あ、こないだAちゃんのバイト先で食べたたこ焼き美味しかったな。またみんなで行くね〜今度はAちゃんが注文取りに来てほしいなぁ」
偶然だと思うけど結局最初席に案内してからはほとんど接していない。いつの間にか帰ってたし、ご丁寧にメッセージを置いて。
「基本的に忙しくなかったら同性のスタッフが行くからどうだろね」
「え？なんで？」
「居酒屋ってお酒が入ってテンション高くなると異性のスタッフに絡んだりするような人たちばかりだから。みんながみんなじゃないけど、しつこい人は凄いからなるべく私たちは気を付けてる。まぁ混んでたらそうもいかないけどね」
これはダンスサークル御一行を避けるためではなく本当の話。確かに知り合いとかなら例外はあるだろうけど、少なくとも私たち3人の中では暗黙の了解みたいなところがある。
「…そっかぁ、でも俺らはそんなことしないからAちゃん指名するね？」
「指名制度ないよ。笑」
「あ！今笑った！やった！」
指名だなんてキャバクラみたいなこと言うから思わず少し笑ってしまって。それを見た佐久間くんに大げさなくらい喜ばれた。
「へへ、楽しいな。Aちゃんとデート」
「い、いやデートって…」
「はい！おいしいよ！あーん」
佐久間くんがたこ焼きを私の前に差し出した。拒否するのもあれだし素直に口をあけてたこ焼きを迎えると思ったより大きい。口をずっともぐもぐせざるを得ない私を見て佐久間くんが楽しそうに笑った。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年5月20日 2時
