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「えー、なんか恥ずかしいなぁ」


そう言って、そわそわしている康二くんは照れ隠しか変なポーズを取った。そのポーズが絶妙に面白くて、私は思いっきりツボに入ってしまった。


「あはははっ、何それ!ちょ、ツボ……!」

「おい康二、せっかくの2ショットそんなんでいいのかよ。笑」

「いやいつも撮ってる側やからなんか恥ずかしいやん、2人ともよく俺に付き合ってくれたな。笑」



私がツボに入ったのをいいことにそのまま変な動きをする。ちょっと、写真でしょうが。笑わせないでよぶれるっての。

ひーひー言ってる私を見て笑いすぎや!って康二くんもツッコミながら笑った。久しぶりにこんな笑ったかもしれない。課題でずっと集中してて疲れてたから、本当にいいリフレッシュになった気がする。



「ありがとうなぁ、いい写真取れたわ」

「おう、今度なんか奢れよ」

「何でも奢ったるわ、じゃあなぁ」

「じゃ、Aも頑張れよ」

「はーい、またバイトでー」



撮影が終わり制作に戻る私とデータをチェックしに写真棟に行くという康二くん。目黒くんを見送って2人で大学内に戻ってきた。



「Aちゃんもありがとうなぁ。俺がそっちの課題になんも協力できんのが申し訳ないわ」

「そんな、いいよ。また展示するよね?楽しみにしてるよ」

「おー、嬉しいなぁ。被写体がめちゃくちゃええから厳選せな!」


康二くんはカメラの画面を見て嬉しそうだ。
私の姿が不特定多数に見られると思うと恥ずかしいけれど、彼がこんなに満足げなら協力できてよかったのかなと思う。



「私服なん、新鮮よな。スカートとか履いてるん初めて見たわ。似合っとるよ」



そんな時に、急に褒められて少しドキッとした。

確かに写真を撮られるというので少し気を使った。って言っても気合が入りすぎるのはあれなので下はロングスカートだけど上はカジュアルなスウェットに。足元もスニーカーで、バランスをとったつもりだった。


「康二くんもおしゃれだよ。カメラも相まって、なんかやっぱ芸大生感増すね」

「服は好きなんよ。古着とかも着るし、バイト代ほぼ服につかっとる」



何だかそうやって笑う康二くんが大人っぽく見えた。
寂しがり屋だと思ったら。

服って印象変わるんだなぁと今更思う。バイト先ではいつもTシャツに黒パンツだし、そりゃ印象も変わるかと彼の姿をまた眺めた。


さて、私も頑張ろう。
スカートが揺れる感覚を感じながら建築棟へと戻った。

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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時

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