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「うーん、難しいなぁ…」
座っている椅子にのけぞって天を仰いだ。
学科棟の一室で課題に向けて構想を練る。
数日前、課題のテーマが発表された。
“誰かが輝く建物”
今までは住みやすいとか、過ごしやすいとか。住居系じゃなかったら買い物がしやすい、足を運びやすいというような。
テーマで具体的な言葉は提示されてないけど、それに直結するようなものが多かった。なのに急にこんなアバウトなお題ですか……
輝くってなんだろう。社会人が輝くっていう設定にして仕事しやすいオフィスとか？学生なら学校？え、大学作る？でもそれって何となくだけど誰かとかぶりそう。てかオフィスとか行かないから知らんし。
そう考えて分からなくなって、また悶々とする。
変な条件をつけられ戦う羽目になった今回の課題。そんな時に限って難しいテーマが出されて私は項垂れていた。
来週には作り始めたいのに図面ですらまだ真っ白だ。
気が付いたら周りの人が誰もいない。もうそんな時間？と時計を見れば大学が閉まる時間になろうとしている。
やばい、今日何も進んでない。
「あれ、誰かいると思ったら」
「…うわ、一番会いたくなかった」
「ひどーい。笑」
そんな時に声をかけられたのは対決相手だった。
いくら課題期間とはいえこの時間まで学科棟にいるの私だけだと思ってた。今までもそうだったのだろうか。
「調子どうよ、いいの作れそう？」
「……さぁ」
「今回のテーマ難しいよね」
彼もまた難しいとは感じている模様。
対決を持ちかけたことを後悔しろ！と一瞬念を送った。
「…アバウトが過ぎる」
「でもさ、つまりは何でもできるってことじゃん？自分の中でハマれば模型も楽しそう」
ただ彼は得意げに笑うのみだった。
その姿にため息が漏れる。
「…そこに行き着いてない」
「俺は佐久間の思いも背負ってるし本気でいきますよ？」
「勝手に背負ってるだけじゃん」
「見に来るって言ってるよ。佐久間ポイントも加点要素にいれようか」
「こっち不利じゃん」
「えー、分かんないよ？」
煽るだけ煽って閉じ込められないようにねーなんて言ってって去っていった。やけに自信たっぷりな姿にムカついてくる。もう図面終わってたりして……
向こうの部屋で警備員さんが見回りをしている。
帰らなきゃ。
ごちゃごちゃになっているデスクの上、あまりにも汚くて呆れてしまった。パソコンのデスクトップもいくつのページが開いてるのやら。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年5月20日 2時
