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「どう？」
「え？」
「感想くらい聞かせてやー、自信作やもん」
さっきまでサクマが座っていた私の正面に座った康二。バレてないかと思ったのに、私が箸でつまんでいたそれを指さして笑った。
「…あ、うん。おいしい」
「せやろ？」
あくまでいつも通り。あの時土手であんな感じだったにも関わらず康二は一切そのことに関して触れない。兄が悲しい顔をしていたと言っていたことすらも疑ってしまうほど。
「無理して全部食べんでもええよ、多いやろ？」
「いや…食べれるよ、うん」
気を使われている気がしてさらに申し訳なさが募るけど、それを出すのもまた気を使われる原因になるだろうと思って。いつもより多めに口に頬張って租借しながら康二を見る。
「ふっ…入れすぎやろ」
「んーん」
「無理して食べて高いとこで吐かれたらたまったもんじゃないで？」
笑ってくれて安心する。きちんと飲み込んでから「そんなことしないし」と返すとまたちょっと悪戯に笑う。
「高いんやで。風も強いし、意外とスピード速いんよ？」
「ふぅん」
「怖いーとか何とかいうて全然乗ってくれへんのやもん。その間に俺の技術は進化してるからなぁ？覚悟しとき」
ニッと笑ってまた外に出ていった康二。またあの私にいたずらをしようとする目だったけど、それと同時に楽しそうな様子が見えてまた安心した。
「……別に、高いとこは平気だし」
彼がいなくなったのにあえて声に出して反論してみた。そして私は少しお腹のキャパに不安を感じながらも康二のご飯を完食し、お皿も入れてあったタッパーもちゃんと片付けた。
「サクマー、二人待ってると思うから行くよー」
その間、大人しく充電をしていたサクマはキッチンから戻ってそう声をかけた私に対して
「よかったねぇ」
と、コードを取ってから私に駆け寄り頭を撫でた。
「……ん？何が？」
「たのしみだねぇ」
なでなで。
にっこにこー！というよりかは穏やかな微笑みで私の頭を撫で続けるサクマ。何だか今までと違うような姿にちょっとだけ動揺した。
「う、うん？」
「こーじうれしいねぇ」
ハッとした。やっぱりサクマはエスパーか何かなのかもしれない。私の本当に些細な気持ちが全てサクマには伝わっていたのだろうか。
「サクマ…？」
「えらいねぇ」
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
