エスパー ページ7
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準備をすると工場に行った2人のお皿を片付けて、そして冷蔵庫を開けて取り出すあのタッパー。
彼らが戻ってくる前に全部食べれるか怪しかったけど、さすがにこれ以上保存しておくのは怖いし食べないで捨ててしまうのは心が痛い。
「Aごはんー？」
「うん」
「そっかぁ」
サクマが隣で眺める中、ひとつひとつのメモを取ってタッパーの中身をお皿に移す。温めるものは温めて、そして自信作らしいおかずをつまみ食いしてみた。
「……美味しい」
自信作なだけある。
全ての料理を並べてみるとやはり夕飯用に作ったそれらはちょっと朝にしては多い量。出発までにこれを食べ終えて何事もなかったかのようにふるまえるのだろうか。
「……いただきます」
お腹は空いている。自分のポテンシャルにかけよう。
「おいしー？」
「うん」
「よかったねぇ」
食べ進める私をニコニコと見つめるサクマ。何をするわけでもなく本当に見てるだけだから何だかこちらも食べにくい。思わず食べる？って聞きそうになるも、彼は人間のものは食べられないのだと分かり切っている事を改めて思い直す。
「サクマ？」
「なぁに」
「充電大丈夫？」
「サクマ元気だよ」
「これからずっと外にいるからね？少しでも減ってたらしといたほうがいいんじゃない？」
急に動かなくなったサクマの様子、そしてはしゃいじゃって充電忘れたのかな？と彼の生みの親の言葉を思い出して念を押しておいた。結果的にそうじゃなかったけどマジであり得そう。外で電池切れはもう勘弁して頂きたい。
「んー」
私の言葉に少し考え込んだサクマ。どうするんだと黙って見ていたら徐に立ち上がってコンセントの近くに。
「サクマ充電するー」
「うん、いい子」
聞き分けがよろしいようで。
「あ、こうじー」
「えっ…！？」
自分でコンセントにコードを繋いだサクマを見て自分もさっさと食べようと。康二のご飯に向き直った瞬間にデジャブを感じる。
「Aー？」
玄関が開く音がしてこちらに向かってくる声。
「Aーそろそろ行くでー……あ、ご飯中やった？」
今度会ったら聞いてみよう。生みの親にサクマのエスパー機能のことを。
「……うん」
「あぁ、急がんでええよ？まだちょっとかかるから」
ちょこんと壁際に座るサクマに「さっくんもご飯中やんな」って笑った康二。にこーって笑ったサクマを見て康二自身もにっこり笑った。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
