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「できたよ」
「お、Aのご飯久しぶりやんなぁ？」
別に大したものは作ってないのに、康二は待ってましたと言わんばかりにダイニングテーブルに座る。今度はご飯をよそおうとまたキッチンに戻って「ご飯どのくらい食べるー？」と二人に声をかけた。
「大盛」
「うん、知ってる。康二は？」
「照兄ほどはいらんけど気持ち多め！」
「そう？いつも少ないのに」
「今日はいっぱい食べれる気すんねん」
兄は相変わらずご飯は茶碗山盛り。康二はいつも少ないイメージだったけど、今日はテンションのせいなのか食欲も割増なようだ。
二人のご飯を持っていくとサクマがさっきのみそ汁を持ったまんま佇んでいた。何をしてるんだと回って顔を見るとなぜかしょんぼりしてる。どうしたの。
「サクマ？それ康二のだから置いてあげて」
二人の前にご飯を置きながら声をかける。康二と兄は気づいていなかったようで、振り向いた先のみそ汁を持ったままのサクマに不思議な顔をした。
「こーじ」
「ん？どしたんさっくん」
「Aも一緒だよね？」
サクマの問いかけにきょとんとした康二。
「A？」
「サクマ、Aと一緒じゃなきゃいやなの」
ほかほかと顔の前に上がるみそ汁の湯気なんてお構いなしに康二を見つめてそんな事を言う。サクマはさっきまでの笑顔とは反してずっとしょんぼり顔。
「空とぶの、Aも」
どこか訴えかけるようにも感じて。
もしかして、康二が私と一緒に行くのを許していないとでも思ったのかもしれない。
「サクマ、違くて…」
「そりゃ俺も一緒に来てもらいたいけどなぁ」
私が否定しようとしたのを遮るように康二が言った。
「せやってよ？さっくん一緒じゃないと嫌やって」
「いや…私は行かないって」
「じゃあさっくんだけになっちゃうなー」
サクマにそう言いながらも康二は私の方を向いて何やらニヤニヤしていた。
「な、なに……」
「ごめんなぁ？さっくん」
「いやだ！サクマAといっしょ！」
駄々をこねる子供みたいにサクマは首を振った。やっぱりサクマは小さい子供設定なのかもしれない。珍しく聞き分けが悪い。
「んー、困ったなぁ？」
康二の目線は何かを期待しているよう。小さい頃私にちょっかいをかけていた時と同じ目をしていた。この目を見るといつも何かされる！って、私は誰かしら年上組の背中に隠れに逃げていた。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
