分からない ページ21
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上のいつもの部屋に行くとふっかは書斎で何か作業をしているようだった。その後ろ姿に声をかけるとこちらを見てぐーっと伸びをする。
「最近規則正しいね」
「いつも寝てるとかなんとか言いやがる助手がいるからさ」
ふっと笑って立ち上がったふっか。いつものようにカップを手に取り慣れた手つきでお湯を沸かし始めた。
「飲むっしょー？」
「うん」
最初はなんとなく買って一応仕事場になるからと個人的に常備してあった紅茶。気づけばふっかも飲むようになって、もはや私が買わなくても勝手に常備してくれるようになった。
ここにいる時以外は飲まない。別に理由はないんだけど、ここに来れば飲めるからと家用には買わないのだ。
「……忙しいの？最近」
「んー、別にそんなこともないけど」
「その割にはちゃんと仕事してるなって」
「俺はいつでもちゃんとしてますけど」
助手と言ったって彼の仕事をすべて把握してるわけでもなければ、軽く手伝う事はあってもまだ内容を理解してちゃんと役立てるほどの手伝いはできない。
「…私ができることあれば言ってね」
「なーに、珍しくそんなこと言って」
目の前にいつもの紅茶が置かれる。
「昨日も言ったろ、間に合ってるって。自分の勉強するかそいつと一緒に遊んであげな。忙しくなれば嫌でもこき使ってやるから」
またふっと笑ってソファではなく書斎に戻ったふっか。また作業をし始めた彼に話しかけることはできなかった。
仕方なく紅茶を啜ってぼーっとする。そういえばと周りを見渡すとサクマはいつかふっかが見ていた星座表を不思議そうに眺めていた。
そっとそこに行くと何故か嬉しそうな顔をしたサクマは「これなぁに」と私に問いかけた。
「星座」
「せーざ？」
「うん」
星座って何。説明しようとしたけどなんて言えば分からず。
「えーっと、なんて言うか」
「空の領域」
後ろから聞こえた声に振り向くと作業に集中していたはずのふっかがこちらを見ていた。
「正しく言えばね？」
「…領域？」
「地球上で言うと国境線に囲まれた国土みたいな」
ふっかは指で空気に四角を描きながら話し始めた。
「空全体をでっかい地図だとして、境界で分けられたその領域を星座っていうの。だから星の事を星座って言うんじゃなくて、いくつかの星が属してる場所の事を星座っていうんだよ」
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
