・ ページ7
・
(うーん、阿部ちゃんくるまで何話そうかなぁ)
スマホを操作しながらそんなことを思ってるらしい佐久間さん。何も聞かされてないのか、そりゃあ困る。
(見た感じ年下だよな？え、阿部ちゃんの彼女とかじゃないよね？)
いや何でよ。
スマホを操作していた手を一瞬ピタっと止めてそんなことを思ってる。私に対しての敬語で綺麗な声とは別で、少し砕けた話し方は明るくて可愛らしい。
「阿部ちゃんとお知り合いですか？」
「いえ…そういうわけでは…」
「あ、そうなんだ。学生さん？」
「えっと、先月卒業して…」
「おー、お仕事は何されてるんですか？」
まぁ話の流れ的にそうなるよね。私はこの質問にいつまで苦しめられるんだろうなぁと思いながら悲しくなってくる。
「えっと…色々あって、してなくて」
「そっかぁ、まぁ色々あるよねぇ」
目の前の佐久間さんは変わらず優しく笑っている。
気を遣ってくれたのだろうか。
(やべっ、聞いちゃいけなかったな)
「あっ、お気になさらず！その、あっ…」
「え？」
しまった。
心の声に反応してしまった。
実際の本人の声と全く同じ声で聞こえてくるから、話してる流れで気づかず返してしまうことがたまにある。近ければ近いほどクリアに聞こえてくるのでその人が口を動かしているのを見ないと分からないほどの時もあるんだ。
「ただいまー」
その時、カランとさっきの音が鳴った。振り向くと昨日振りのあべさんと、もう一人。
「あ、阿部ちゃんお客さん！」
「うん、ごめんねAちゃん。お待たせ」
この人は初めましてだ。
「舘さん、さっき言ってた子」
「あぁ、どうも。はじめまして」
やけにいい声で挨拶をして軽く会釈をしたその人につられて自分も頭を下げる。着ていた上着を自分の場所らしいデスクの椅子に掛けるとふっと上品に笑った。
「阿部ちゃんお客さん来るなら言ってよー店番の意味ないじゃん」
「ごめんごめん、昨日の今日だから伝えるタイミング無くて」
「昨日？あの恋人取られた腹いせに周りの人を殺っちゃったってやつ？」
佐久間さんの言葉に目を丸くした。
それってあの茂みに隠れてた人の事…？私そんな人に人質取られようとしてたんだ…マジで死ぬとこだったじゃん。
「ね、危なかったよね」
阿部さんは今更冷や汗をかいた私に爽やかに笑って見せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - onceさん» お読みいただき、そして温かい応援のメッセージありがとうございます(^^)頑張ります！ (2021年8月2日 15時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
once - すごく面白いです！これからも頑張ってください！ (2021年7月31日 14時) (レス) id: d9ffc008c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - はちの玉雪さん» ただいま帰りました！！笑 いやーお待たせいたしました。7人の探偵さん達をどうぞよろしくお願いします。笑 (2021年7月23日 13時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - みーさん» お読みいただきありがとうございます！！さぁ、それが今後どうなっていくのか…笑 私もどうなるのか分かりません！笑 (2021年7月23日 13時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
はちの玉雪(プロフ) - おかえりなさいませ、「キミを持っている」の心境でお待ちしておりました(笑) これからの展開を、楽しみにしております。 (2021年7月22日 20時) (レス) id: ef0b5894b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年7月13日 22時
