不器用だけど愛してる ページ40
ー.A落ち着いて。
｢もういいよ、宏介にはわかんないよ。｣
ー.ちょ、A、まっ……
彼が言い終わる前に電話を切った。
《ごめん、今日も行けそうにない。》
分かってる、宏介の職業が不規則なことも。
私なんかより忙しいことも。
けれど何度も聞いたこの言い訳にイラついてしまったのだ。
｢宏介いつもそうだね。｣
ー.ほんっとにごめん。また連絡するから。
｢もういいよ、聞き飽きた。
もう宏介と約束なんかしたくない。｣
ー.待ってよ。A話聞いて？
こんな感じで喧嘩？というか一方的にわたしが怒ってしまって電話を切った。
会えなくてもいい。
ただ、約束をしてその約束がなくなってしまった時の寂しさ、悲しさが私には苦痛だ。
それなら約束なんていらない、宏介の話なんか聞きたくない。
｢で、俺のとこ来たってわけ？｣
｢連絡くれたのはそっちの癖に。｣
コーヒーを飲みながら迷惑そうな目で見つめる秋山。
宏介の事でモヤモヤしていた時に、ちょうど連絡をくれた秋山を誘ってカフェに来た。
｢彼氏さん、忙しい人なんだろ？｣
シュガーソングの人だっけ、と秋山はスマホをいじりながら言う。
秋山には宏介と付き合い始めの頃からずっと相談している親友。
男友達の中で唯一宏介と付き合っていることを知っている。
｢忙しい人だけど。
約束だけしていっつも私のこと置いていくの。
なら約束なんて意味ないし、宏介からのごめん。も
もう聞きたくない。
簡単に片付けられてる気がするし、宏介にとったら私なんてどうでもいいんだよ。｣
頼んだカフェオレを飲みながら秋山の顔を見つめる。
宏介とは違うタイプのイケメンだよな。
宏介は上品な顔立ちで美人だけど、秋山はジャニーズ系のイケメンだ。
秋山は彼女を1番に考えてくれそうだし、秋山みたいな人と付き合っても幸せだろうな。
｢……お前さ、どうでもいいやつと会う約束すると思ってんの。｣
これ見ろ、と秋山にスマホを渡される。
そこにはUNISON SQUARE GARDENのオフィシャルサイトにあるインフォメーションのページだ。
｢……なに？｣
｢そこに出てるだけでかなり多忙なのに、ライブもレコーディングもしてるんだろ。
その中で一生懸命時間作って会おうとしてる人が、どうでもいいなんて思ってるわけないだろ。｣
はあ、と溜息をつき私からスマホを取り上げる。
｢今回のことは俺、お前の肩ばっかもてないわ。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (
レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます！私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります！ (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください！ (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：裕 悠 | 作成日時：2020年3月27日 11時
