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君と私の温度 ページ36

気まずい……

気まずすぎる……。


久しぶりのデートなのに気まずい理由はさっきの友達からの電話が原因だ。

ー.あ、A!先週は合コン来てくれてありがとうー!

電話口から丸聞こえの友達の声に斎藤さんは食べていたカレーを口に含んだままピタリ、と止まった。


先週、友達にどうしてもと頼まれて人数合わせで合コンに参加したのだ。
もちろん誰かと連絡先を交換するわけでもなく、ただご飯だけ食べて帰宅しただけ。

斎藤さんに最初から言っておけば良かったんだろうけど、仕事も忙しそうだったし変に気にさせるのが申し訳なかった。

断れない上に、気を使った結果今かなり気まずい。


電話を切ったあとから宏介さんは難しい顔をして食べ続けるし、喋る勇気が出ないまま食べ終わってカフェを出た。

斎藤さんの斜め後ろを歩いてるけれど、怒っているのかどうかさえわからない。
このまま今日はもう帰った方がいいんだろうか……。でもちゃんと合コンの話をしないといけないと思う。


「Aちゃん。」
「は、はい!」
「うち来るよね?」

振り返った斎藤さんの目はとても暗く見えた。
「……はい。」

返事を返すとん、とだけ呟き斉藤さんの家の方にまた歩き始める。




家に着いてからも斎藤さんは黙ってソファに座った。隣に座るのに気が引けてソファによすぐそばのカーペットの上で座る。

「Aちゃん、さっきの……合コンの話聞いてもいい?」

難しそうな顔をした斎藤さんが私を見つめた。

「ごめんなさい……。

友達にどうしてもと人数が足りない、ただご飯食べてていいから来て欲しい、って言われて。

断れなくて行きました。」

「なんで俺に言わなかったの?」

「斎藤さん、きっと行くなとは言わないし。
お仕事も忙しそうだったんで変なこと言うのも申し訳ない、って思いました。」

ふーん、と言って斎藤さんは目をそらす。

呆れられた?怒ってる?

全て自分が悪いと理解してるから何も言えない。


「あー、ダメだ。大人の余裕なんてない!」
顔を手で覆って突然大きな声で斎藤さんは叫んだ。

パッと手を外すと私の方を見た。

「さっきの電話で合コンってワード聞いてすごい動揺した。
一瞬だったから聞き間違えたのかと思ったけど、Aちゃん正直だからめちゃめちゃ表情に出てるし……。

言い寄られてたらどうしよう、とか良い奴見つけちゃってたらどうしようとか思ってる。」

かっこ悪い……と寂しそうに笑う。

.→←それは恋ってやつですか?



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設定タグ:UNISONSQUAREGARDEN , 斎藤宏介 , 邦ロック   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時

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