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｢帰って待ってて、っていったでしょ？｣
突然背後から声がして振り返ると息を切らした宏介さんが立っていた。長い前髪の隙間から見える目が少しだけ悲しそうだ。
｢宏介さん、あれ、だってれんらく｣
｢スマホの画面に待ってる、ってメッセージが出てたから連絡するより先に走ってきちゃった。｣
おじさんはもう体力が限界なんだよ〜、と笑う。
こんなスタイル良くてかっこいい人がおじさんだなんて言ったらダメだよ。
｢ごめんね、こんなに待たせて。｣
私の手を握ってそういう宏介さんの声は本当に落ち込んでいた。
本当に真面目な人だから、約束を守れなかったことがすごく許せないんだろう。
彼の硬い指先を触ると、その指をまたぎゅっと握られた。
カフェを出て歩いている時も宏介さんは握った手を離さなかった。いつもはあまり外で手を繋ぐことをしないけれど今日は強い力で握ってくれていた。
｢大丈夫ですよ、待ってる時間も楽しかったし。｣
｢大丈夫じゃないよ。
普段こんな時期に会いたいなんて言ったら迷惑かけるって思ってたんだけど最近どうしても会いたくて。
いざ約束したらこれだからほんとにごめんね、｣
宏介さんの口から"どうしても会いたい"なんて言葉を聞いたのは初めてだ。おもわずふふっ、と頬を緩めてしまう。
｢……なんで笑ってるの？｣
｢いや、だって。宏介さんがどうしても会いたいなんて言うから、珍しくて。｣
｢俺の事なんだと思ってるの。｣
少し笑いながら睨んだあと、立ち止まって私の方に体を向けた。
｢Aちゃんより年上だし、もういいおっさんだから普段言わないけど俺結構会いたいって思ってるよ。｣
年甲斐もなく嫉妬もするし、と小声でつけ加える。
｢わ、私も会いたいって思ってます。好きなのも宏介さんだけです。｣
驚いたように目を丸くした後に｢敵わないな。｣と呟いて私の肩を顔を埋めた。
｢宏介さんっ、人来ますよ？｣
｢まだ一緒にいたいんですけど、大丈夫ですか？｣
耳もとでそっと囁かれ至近距離で見つめられる。
長い前髪の間から見えるのは、さっきの申し訳なさそうな目じゃなくておもわず心拍数の上がってしまうような色っぽい目だった。
｢だ、大丈夫です！｣
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個人的におちゃめな斎藤さんも好きですが、自分のことおじさんっていう斎藤さんも好きです。
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (
レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます！私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります！ (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください！ (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：裕 悠 | 作成日時：2020年3月27日 11時
