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こんな暗くて静かな空間じゃ気分が落ち込むだけだと結論付け、パソコンをシャットダウンさせ、出来上がった書類は鍵付きの引き出しにしまい、荷物片手に薄暗いオフィスを進む。
ドアを開けて明かりを消して静かに閉める。
重く沈んだ気分のままでエレベーターに乗り込み、一階のボタンを押し込むと、力なく壁に背を付けた。
腹の中がふわり浮くような心地が気持ち悪くて息を吐く。
どれだけ息を吐いてもムカムカは晴れてくれない。
こんな気持ちのままで何となく家には帰りたくないな。どうせ明日は休みだし、どこかの飲み屋でやけ酒でも飲もうと開き直り、どこの店に行こうかと頭の中で探しているうちに一階に到着し、静かにドアが開いた。
俯いたままで一歩二歩と重い足取りで正面玄関を目指すと、あの、と控えめな声で呼び止められる。
エントランスの一角の長椅子から立ち上がり、急ぎ足で寄る姿。
俺と距離を置いて立ち止まった、俺のよく知るその人。
「あの、迷惑かもしれないのは分かってるけど……一緒に帰りたいな、と思って……」
両手を組んだり指を擦ったり、モジモジさせながらAさんはそう言った。
数時間前の俺なら二つ返事でOKして、何なら帰りに一杯つき合ってと誘ってたかもしれない。
自分の気持ちに気づかず、親しくなって近付く距離感が、更に縮まる過程を楽しみに浮かれ調子でいた事だろう。
「……いいですよ、帰りましょう」
彼女との距離感をきっと間違えただけ。修正するなら今のうちだ。
俺がいじけて残業していたお陰で二人揃って異常に腹が減り、どちらからともなく食事に誘い、適当に飛び込んだバルで遅めの晩飯にありついた。
「ナムジュンさん、ちょっと進みが早い気が、」
「このくらい、へーき、へーき！今夜は酔い潰れたい気分なんだから！止めないで」
勝手に傷心に浸る俺はその失恋相手の目の前で、無謀にも飲み明かそうとペースアップしていた。
「何でそんなに。……あぁ、お水……」
正面のAさんは心配そうに水を勧めるが、俺はそれを頑なに拒み続け、何杯も強アルコールのカクテルを空けた。
自分でも結構いける口だと自負している。酔い潰れたいと言ってみながら、そう簡単には潰れない自信があった。
酔ったくらいでAさんに絡んだり、飲酒を強要したりはしていない、はず。
まして彼女を傷つける様な事はするはずがない。
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あがしおん(プロフ) - miyaさん» いつもコメントありがとうございます！ジンくんはほんわかあったかい感じがよく似合いますよね！気に入っていただけてよかったです！ (2019年12月7日 14時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - 大好きなジンくんのお話ありがとうございます(≧▽≦)そうこのゆったりとした空気感が大好きなんです！寒くても、ジンくんの周りは温かいですね( 〃▽〃) (2019年12月7日 13時) (レス) id: 6284949262 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» 私も国語の授業は漫画本隠し読みしてた類の人間ですよ！でも、お気に召していただけて何よりです〜♪ (2019年10月14日 1時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - あがしおんさんの愛情いっぱいの言葉、大好きです(T△T)あぁ、本当に国語の授業寝ていた自分が恨めしい。。。。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: 6284949262 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» miyaさん、コメントありがとうございます。作者も泣いております。近頃は涙腺がユルユルで……。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年8月22日 8時
