xxi ページ21
──────……
次の日。
「A〜」
「うっざい。やめて」
いつものようにベタベタとくっついてくる影汰に嫌気が差しながら、Aは昨日のことを考えていた。
あの発言は本当なのだろうか。
自分を諦めさせる為のハッタリとも取れるが…。
そこでAは気付いた。
自分はあまりにこの男のことを知らなすぎる、と。
情報を得る為に、まずは彼のことを知る必要がある。
「ねぇ」
「ん?」
「お兄さんはさ、普段ほとんど家にいるけど……仕事とかしてないの?」
「なっ…僕だって仕事くらいしてるよ。じゃないと君を養えないでしょ……」
「でも、仕事行ってるとこ見たことないけど…」
「僕は家のパソコンでしてるんだ。ネット上でフリーで色々仕事を請け負ったり……まあ、肩書き的にはシステムエンジニアとか…プログラマーが一番近いのかな」
「へぇ……なんか、思ったより凄そう」
そこで影汰は思わず目を輝かせた。
「え…!?す、凄い!?」
「…うん。だって、難しいことはよくわかんないけど、フリーでちゃんと生計が立てられてるってことは、それだけその技術もあるってことでしょ?」
「ま、まあ……パソコンに関してはかなり得意かな。…ハッキングとかも出来るし」
「ハッキング…!?……いや、まあ、うん。なんか納得したわ」
「なにが?」
「それだけの技術やハッキング能力があるなら、昨日言ってたその……カメラの細工や、証拠隠滅?とかも、出来てもおかしくないのかなって」
「あー…」
影汰はAの顔を覗き込むようにして言う。
「もしかして疑ってた?」
「疑うっていうか、ハッタリだといいなって」
「今もハッタリだと思ってる?」
「いいや。仕事についての確証とか何もないけど、なんか嘘ついてる気しないし……軽く絶望してる」
「…絶望、か」
Aが小さく溜息を吐くと、影汰は彼女をそっと抱きしめだした。
「…絶望してるってことは、ここにいたくないって強く思ってるからだよね」
「……」
「…………早く、僕といたいって…思ってくれたらいいなァ……君の為にも」
「私の……為にも…ねぇ」
そこでAはフッと笑った。
「…そう…ね。……そうなったら、ある意味楽だろうね」
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さく - すごい面白いです!!!! 更新頑張ってくださいね、ずっと待っていますから (2022年1月19日 18時) (レス) @page23 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年11月24日 17時