47話 ページ48
「A！！」
「ぅわっ？！
え、なに、なに？！」
教室に入った瞬間
エースに思い切り肩を掴まれた。
「今日の飛行術は箒に乗れるらしいぜ！」
「すっごい目ぇ輝いてんねエース」
当たり前だろ？！
魔力があるなら誰だって憧れるだろ！
と豪語するエースに、
デュースもウンウンと後ろで頷いていた。
「オレ様も空を飛ぶんだゾ！！！」
「みんなテンション上がりすぎじゃない？」
何言ってんだお前って顔で見られた。
そうか、そんなにみんな箒に乗りたいのか。
「あれ、ユウくん……は、そっか。
箒乗れないんだもんね……
俺の後ろに乗る？」
視界に映ったのは1人しょぼくれているユウくん。
彼は魔力がないと言っていたから、
勿論箒には乗れないのだろう。
みんなと同じように
箒に乗れないのは寂しいだろうな。
「えっ？！
あ、いや、僕は……
うん、お願いしてもいいかな。」
「勿論！」
僅かにほころんだユウくんの顔に
私は笑顔で返事した。
______________________________________
「どうやらみんな知っているみたいだが……
今日はお前らを箒に乗せる！！」
バルガス先生は
いつも通り自分の筋肉自慢をしたあと
そう口火を切った。
乗せるって乗るのは私たちじゃ。
と思った時だった。
「それから！
例年箒に乗るのが下手な生徒が一定数いる！
……そこの！細っこいお前！」
ほら、そこのオクタヴィネルの！
と言われてようやっと自分だと気づく。
「えっ？！俺、俺ですか？！」
「オクタヴィネル生だな？！
ひとつ上の寮長達は
とことん箒には乗れなかったぞ。
やはり頭脳系の寮出身者には
難しいのかもしれないな！
無理はするな！
落ちても助けてやれないぞ！」
そこは助けてよ！
と思ったがそれ以上に
アズール達が箒に乗れないというのは驚きだった。
否、アズールが乗れないのは予想通りか。
「返事ははいだ！」
「はっ、はい！！！」
本当に無理だけはしてくれるなよ！
というバルガス先生の視線を一身に浴びて、
私はいたたまれない気持ちになる。
「A、
お前監督性を乗せられるほど飛べるのか？」
「出たよ性格の悪そうな顔！」
失礼な！
と叫ぶエースを後目にユウくんに振り返ると、
ユウくんまでもひきつった笑顔だった。
「あ、あの、僕、
Aくんが上手く乗れるようになってからで、
大丈夫だから……」
「なんでそんなに語尾が消極的なの！！」
失礼な！
私は海では運動神経抜群だったんだからね！
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作者名：よく骨を折る田中 | 作成日時：2020年6月30日 22時
