【ツイステ】破天荒な人魚は自寮がお嫌い (ページ4)

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3話ページ4

「どうやって走ってるんですか！！」

「……っ、えぇ？」

放課後。
奇跡的にウツボにもタコにも会わなかった。

とにかく練習しなければと
中庭で走る練習をしていたら
軽快に駆けていく人がいて
思わず声をかけていた。

「どうやって、走るか、スか？」

「そう！です！！」

もう恥も外聞も知ったことではない。
とにかくあの3人に見下されるのも
捕まったという事実も私の中で
決してくるされることの無い話なのだ。

「……普通に……」

困惑した顔で答えてくれる青年。
ピコピコ動いていた
耳が困ったように半分くらいで垂れている。

っぇえ、この人動物の耳が生えてる。
可愛い。可愛い可愛い。
触りたい絶対もふもふしてるよね。

海中にもふもふなんてほとんどないし～
と思わず手を伸ばしかけて。

今はそれどころでは無い。

「走り方を私に教えて頂けませんか？！」

「えぇ？！……………」

タコに隅を吹きかけられたような
なんとも言えない顔をして
耳の人は考え込み始める。

「それ、本気で言ってるんスよね？」

「本気も本気、超本気です。
私は走れるようになって見返してやるんですよ」

見返す…？
と耳の人は呟いて大きく首を振った。

「オレはラギー。ラギー･ブッチ。
2年っス。」

「あ、私はA･セイルです。
先輩だったんですね」

「A…
よし。A。いいっスか？
オレにとって走ることは朝飯前。
あんたに走り方を教えるのは
オレにとって難問じゃないっス。」

いいっすか？
と自分を指さされて、
慌てて私は頷いた。

「あんたに走り方を教える。
その代わり、
毎日食堂のドーナツひとつ、ってのはどうスか？」

にやぁ、と悪そうに笑うラギー先輩。
正直ドーナツ1個を毎日は、
相当な痛手である。
痛手どころじゃない。素寒貧になる。

でもそれ以上にあの海の同胞に負けるのは
私のプライドが許さないわけで。

「なるほど。
その話、受けましょう。」

「っ、え、えぇ～！？
ホントに……いや、はい！
わかったっす。
じゃあ……今日はすみません
レオナさんの用事が入ってるんで
明日から！明日からでもいいっすか？」

レオナさん
と聞き覚えのない単語をいって
ぺこりとラギー先輩は頭を下げた。

それに、対価のドーナツもないし。

なんて笑うから
まぁそうだな、なんて思ってしまった。

「分かりました。じゃあ明日。
よろしくお願いします。」

はーい、と言ってあっという間に
ラギー先輩は走っていった。

あれだけ走れれば、きっと。