21話 ページ22
2日前。
「カジキちゃん
いつまであいつらといるわけ?」
「彼女が走れるようになるまででしょう。」
例のごとく
校舎の窓から中庭を見下ろす影が2つ。
「はァ?
カジキちゃんオレらのじゃねぇの?」
不穏なことを言っているのは
オクタヴィネル寮の主力。
フロイド・リーチ。
隣にいるのは当然相棒のジェイド・リーチである。
「お待たせしました」
そこへ小走りでかけてきたのは
前述の寮の寮長。
アズール・アーシェングロット。
「なるほど、
これが気に食わないという訳ですか」
A・セイルが他寮の生徒と繰り広げる
眩しいほどのやり取りに、
アズールは眼鏡を押し上げながら口を開く。
「つーかカジキちゃんなんにも隠す気ねーし」
ヒラヒラと長い髪をたなびかせながら
全力ですっ転んでいる少女。
男子校にいると言うのに
その仕草や態度に変化はなく、
一人称すら変更する気はないらしかった。
「!
なるほど。要は彼女に
練習させる時間を与えなければいいわけですね」
「!そういう事ですか」
アズールとジェイドの視線が交わった。
「まずはあの
長い髪を切るところから始めましょうか」
「女性の髪を切る、なんてことは
あまり気が進みませんが……」
そういうジェイドの顔は
憂いを帯びているように見えて、
どこか楽しそうでもあった。
「こだわって伸ばしているようには
全く見えないので大丈夫でしょう」
アズールの脳裏に
みんな長いからね〜
切らなくていいのは楽だし。
なんて笑っている人魚が思い出される。
「で、結局どーすんのぉ?」
「彼女を、
モストロ・ラウンジで働かせればいいんです」
獰猛な笑みが3つ、
夕日を浴びて揺らめいた。
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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時