検索窓
今日:3 hit、昨日:16 hit、合計:309,504 hit

21話 ページ22

2日前。


「カジキちゃん
いつまであいつらといるわけ?」

「彼女が走れるようになるまででしょう。」

例のごとく
校舎の窓から中庭を見下ろす影が2つ。

「はァ?
カジキちゃんオレらのじゃねぇの?」

不穏なことを言っているのは
オクタヴィネル寮の主力。
フロイド・リーチ。

隣にいるのは当然相棒のジェイド・リーチである。

「お待たせしました」

そこへ小走りでかけてきたのは
前述の寮の寮長。
アズール・アーシェングロット。

「なるほど、
これが気に食わないという訳ですか」

A・セイルが他寮の生徒と繰り広げる
眩しいほどのやり取りに、
アズールは眼鏡を押し上げながら口を開く。

「つーかカジキちゃんなんにも隠す気ねーし」

ヒラヒラと長い髪をたなびかせながら
全力ですっ転んでいる少女。
男子校にいると言うのに
その仕草や態度に変化はなく、
一人称すら変更する気はないらしかった。

「!
なるほど。要は彼女に
練習させる時間を与えなければいいわけですね」

「!そういう事ですか」

アズールとジェイドの視線が交わった。

「まずはあの
長い髪を切るところから始めましょうか」

「女性の髪を切る、なんてことは
あまり気が進みませんが……」

そういうジェイドの顔は
憂いを帯びているように見えて、
どこか楽しそうでもあった。

「こだわって伸ばしているようには
全く見えないので大丈夫でしょう」

アズールの脳裏に
みんな長いからね〜
切らなくていいのは楽だし。
なんて笑っている人魚が思い出される。

「で、結局どーすんのぉ?」

「彼女を、
モストロ・ラウンジで働かせればいいんです」





獰猛な笑みが3つ、
夕日を浴びて揺らめいた。

22話→←20話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (228 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
806人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。