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18話 ページ19

「おい、」

「はい?」

帰り際。
まだ用があるという2人にお辞儀をして
寮に帰るところだった。

「お前俺の事
いつまでライオン先輩って呼ぶつもりだ?」

「え?」

考えたことがなかった。

いやだって
ライオン先輩はライオン先輩じゃん??

「……じゃあ、ライオンパイセン……??」

「ぶっは!!!」

腹を抱えて笑い出すラギー先輩。

私だって
そういうこっちゃないことは分かっている。
分かってはいるのだけれど。

ライオン先輩って、
なんて名前だっけ?


「おら、名前で呼べよ」

でーんと腰に手を当てて話すライオン先輩。
爆笑し続けているラギー先輩。

……これは……
最大の試練かもしれない。

______________________________________



「おい」

「すみませんえっと、その」

おい私の記憶を司る部分!!
馬鹿じゃなかったはずだ
名前くらい思い出せるはずだ!!!

「…………………………ラギー先輩」


こそこそと呟いて手招きすると、
きょと、として走ってきてくれる。


「なんスか?」

「……ライオン先輩の名前って、なんでしたっけ」

「!」

私の全力の小声だった。
むしろ
聞こえないんじゃないかってくらい絞った声。

それをラギー先輩は難なく聞き取ったようで、
目を大きく見開いて、
弧を描きかける唇をわなわなと震わせて。

「レオナっスよ……っ」

同じくらいコソコソと会話してくれる。

「そっか!!」

そうだそうだ!!
レオナ。レオナ・キングスカラー。

なぁんだ思い出してみれば簡単なことじゃないか

なんて思ったのに。

ぱっ、と顔を上げてレオナ先輩を見ると、
わなわなと震えていた。

あれ?笑ってる?

なんて現実逃避できるほど
余裕があるわけがなく。

「……あのー、もしかして聞こえてました?」

「……あ゛?」

目つきが悪い!!!
あぁはい
すみません聞こえてらっしゃいましたよね!

「オレたちは、っ、
鼻だけじゃなくて耳もいいんすよ……!!」

ラギー先輩手遅れです。
堪えられてないしライオン先輩にもバレてるんで
もうはっきり笑ってくださいむしろそうしろ。

「れ、れれれれれ、れれれれれれれ」

「……」

「あはははははは!!!!」

「レオナ・キングスカラー先輩!!!!!!!」


私の絶叫が響き渡った。

後日、エースたちにお前昨日叫んでた?
って言われるほどに。


______________________________________

「お前ほんとにいい加減にしろよ?」

「すません」

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時

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