14話 ページ15
「ライオン先輩!!!」
Aが、叫んで、レオナさんに飛びついた。
別にいなくてもいいのに。
いや、多分、
Aはそんなつもりで言ったんじゃなくて、
ただただ純粋な疑問であったのだろうが。
……レオナさん、
意外と気にしぃだし繊細っスからね。
詳しいことは知らないが、
2番目であることが
生まれながらに決まっている生活と言うのは、
その裕福さに嫉妬こそすれ、
その立場だったらどうであるか。
と言われればごめん蒙りたくもある。
予備で、スペアで、キープで、
メインが生きてさえいれば
いてもいなくても変わらない。
まぁ、オレの想像っすけど。
「っ、んだよ!」
元々声の低いレオナさんのこと、
そんな言い方をすれば
当然怒っているように聞こえるが、
これはただ単に
気持ちが自分の中で整理出来ていないだけ。
あぁまたオレが仲裁に入らないと。
そう思ったのに。
「帰らないでください。
それから明日も明後日も……
いや、その頃には私は走れるようになるので……」
「昨日アズールが……
いや、なんでもないです……」
モニャモニャと
よく分からないことをAは呟いて、
レオナさんに後ろから飛びついたままで話す。
「昨日お前は走るの向いてないから
もうやめろって言われたんですよ。
まぁ何となく自分でも無理かもってなってて。
でもライオン先輩もラギー先輩も
私にもうやめとけ
って言わなかったなぁって思って。」
それって凄い嬉しいんですよ。
なんか、嬉しいんです。
Aは楽しそうに笑った。
「ライオン先輩つまり、
私の事心配になって見に来てくれて、
それできっと走れるって思ってくれてて、
走れるようになるまで
そばに居てくれるつもりだったんですよね?」
「大好きです!!!!」
背中が向いていて見えないのが惜しいと思うほど、
きっと満面の笑みで笑っているのが伝わってくる
そんな声音だった。
「ばっ、離れろ草食動物!!」
慌ててレオナさんはAを引き剥がした。
色黒(まぁ自分も言えたことじゃないっすけど)
なレオナさんのこと、
顔が赤いのはわかりづらいけれども。
……あれは照れてるなぁ。
すっげぇ照れてる。
「いだい!
って、草食動物じゃないですよ!
肉食です!!!!」
どさ、と地面に倒れ込んだAは、
それでもなお笑顔で笑った。
「は?」
806人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時