検索窓
今日:1 hit、昨日:21 hit、合計:16,110 hit

#1 ページ2








初めて会ったのはドラマの撮影の日。




前の仕事が押しちゃって少し遅れて現場入りした私に優しく話しかけてくれたお兄さん。




ドラマでは、ちょっとぎこちないカップルの役で

そのためか、休憩中もちょっとしか喋れなかったなぁ…


自分はもっと色んな人と話せる人間だと思い込んでいた。



私が彼と仲良くなったきっかけはドラマの撮影も終わった後、打ち上げのとき。





『お疲れ様でした』




主役の彼の周りは人がいっぱいで、やっとの思いで話しかけられたのはお開きになって外に出てからだった。



丸「あ、お疲れ様でした…

楽しめた?あんまり飲んでなかったみたいやけど…?」



『今お酒控えてるんですよ。でも楽しかったです。

撮影も、打ち上げも。』




酔っているのか、顔が赤くていつもと違う彼はタクシー待ちだという。



丸「Aさんはおうちどっちの方?」


『最近引っ越して、今はあっちの方です』




指をさせば丸山さんもつられてそちらを見る。



丸「俺もあっちの方やわ、案外近かったりすんのかな?」




『どうでしょう?』





丸「Aさんもタクシー待ち?」



『はい、歩いて帰るにはちょっと遠いので』



丸「そっか…じゃあ一緒のタクシー乗ろ?同じ方向やねんしさ」



『あ、いいですね』




突然のお誘いに何となく了承する。



スタッフさんが1本向こうの道の方にタクシーを呼んでしまったみたいで、何人かで固まって移動中、




丸「そういえば、僕ずっとAさんって呼んでるけど、なんて呼んだらいい?」


と、話題を振ってくれる丸山さんに




『最近は苗字で呼ばれること多いですけど、子役の時からのくせでって名前呼びされる方もいますよ?』


なんて固い言葉で返してしまう。





丸「じゃあ僕もAちゃんって呼ぼ」




やっぱり彼は酔っているらしい。



ふわふわ可愛らしい笑顔を私に向け、丸山さんは

「僕のことも隆平って呼んでな」

なんて言う。


今まででいちばんお話した夜。









#2→←#0



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆうか | 作成日時:2020年5月30日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。