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カフェの奥____
彼はスタッフと笑いながら紙コップを手にしていた。
白い湯気の向こうで、柔らかく笑うその横顔。
空港のざわめきの中なのに、そこだけ音が遠くなった気がした。
『…ほんとに、また会っちゃった』
そう小さな声で呟く。
それだけで十分だとおもった。
だって、私はただのファン。
名前もしらない、顔も知らない。
何万人の中のたった1人。
それでもあの笑顔を、もう一度近くで見られた。それだけでも奇跡だった。
目が合いそうになって、慌てて視線を逸らす。
コーヒーの香りが切なく胸に残って、立ち止まってる時間がやけに長く感じた。
「搭乗口13番、まもなくご案内いたします___」
そうアナウンスが流れて現実に引き戻された。
背を向けて歩き出すと、ガラス越しにちらりと視界の端をよぎる黒いキャップ。
彼が誰かに頭を下げて笑っていた。
その姿を最後に、私は搭乗ゲートへ向かった。
機内の窓から見える札幌の街は、何年も見て来た景色なのにどこか夢の中の景色のようで____。
(もうこれ以上偶然なんてないよな)
そう思った瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなった。
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遊羽(プロフ) - ランクイン嬉しいハゲる頑張れちゃう (1月10日 22時) (
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作者名:遊羽 | 作成日時:2026年1月9日 0時


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