第四十四夜 団長の苦悩 ページ46
「やはりあの時、シャルにあのままいてもらうべきだった」
「……でも、私も少し無用心だった。咄嗟に隠れたとはいえ」
「いや、Aに責任はない。こうなる前に、もっと早く手を打つべきだったが……」
もう少し早く、ヒソカを団に入れることを決定していたら……。いや果たしてそれに意味があったのか。
『ボクは団には入らない』
ヒソカ……。お前は一体何を考えている？
「クロロ？」
Aに声をかけられ、クロロは我に返る。
「…あぁ、すまなかったA。やはりこれからは一時も、あんたを一人にするわけにはいかんな」
「……ごめんなさい。それと、ありが」
ぽん、と彼女の頭に手を乗せる。
「この世界はあっちとは違う。絶対に忘れるな」
少し照れたような顔をしたAは、一瞬間をおいて頷いた。
いい気分だな。“これ”は。いつもは自分がされる方だったから。彼女よりも自分の方が身長が高いことも心地好い。
「さて、この件はこんなとこだ。……が」
どか、とクロロはソファに座り込む。
「ヒソカへの警戒は、今まで以上に強めた方が良い」
しかしなぜ今さらヒソカが入団を拒否したのか。クロロは、人差し指を唇に触れ考える。あれだけこっちをストーカーのように追っかけ回しながら、今度は入団拒否。それに接触を控える、とまで言った発言。
ヤツは一体何を考えている……？
この間会った時とはまるで別人だ。入団できないと殺りにでも来そうな雰囲気だったのに。Aとの接触で何かあったか……。
「ところで、A。あなたヒソカに何かされたわけではないでしょうね」
パクノダの一言に、クロロの思考も止まる。
「……ええ、特には」
「本当に？なんかキモいこと言ってこなかった？アイツ」
シャルナークが問い掛け、Aは苦笑した。
「……あぁ、まあ別に……」
「なんか絶対言ったなあのピエロ！」
いけすかないと思ってたんだよ、とシャルナークが言った。
「特に何もないならいいんでしょうけど……。あなた自身のことについても、余計なことは話してないでしょうね。悪いけど、念のために覗かせてもらうわよ」
パクノダの声に、クロロも賛成する。
「あぁ、頼むパク」
「覗く？ど、どういう……？」
「それ団長が許可するの？」
Aの意見ガン無視だ、とシャルナークが笑う。
「の、のぞく、て……」
「……大体分かったわ」
疑問符だらけのAに、シャルナークが答えた。
「パクはね、人の記憶が見れるの」
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作者名：アユミ | 作成日時：2018年11月15日 0時
