思い通りにならない彼女【煉獄杏寿郎】其の弐

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最後まで役に立てないと悟り、
寝ることを決意。



したんだけど、
何故か布団がどこからどう見ても一組しか無い。
そしてこの部屋が更に狭い。
布団一組を敷いて、ほぼ一杯になるのだ。




煉獄さんは一人で何か納得している。





そして次の瞬間、私は耳を疑った。





杏寿郎「狭い部屋しか無いと言っただろう？
“恋人専用部屋”なら空いてると言われ、承諾したんだ！」





…するなよ、承諾ぅ………!!!!





『何故っ？！
そこは承諾しちゃダメじゃないですか？！！』




杏寿郎「こういった仕組みだとは言われなかったからな……
まぁ俺はこっちの部屋で寝……『恋人じゃ無いんですから!!』 ……む？」





『恋人専用って事は！
恋人同士が泊まる部屋ですよ！？
恋人のフリなんて、
どれだけ私に嘘をつかせれば気が済むんですか……！？

あぁ！ もう…！
か、か、掛け布団は今日も譲らないですからね…？！

……あっ、でもここの布団、少し大きい気がしますよ…？
これなら前よりは狭く無いかもしれませんね！
良かった…！！』




勝手に話しを進め、布団へと入るAに、眉間に皺を寄せ全く良くない。と思う杏寿郎。




杏寿郎(…気にするところが違うだろうが。
恋人か、そうじゃないかは気にし、さらには一緒の部屋はあれほど嫌がったのに同じ布団で寝る事をどうして気にしないんだ…！！？

今までもずっとこんな(・・・)調子で生きているのか……？
むしろ誰の前でもこうなのか……？！

断言は出来んが、そんな気がする。
…とんでもない女だな……)




“寝るのは布団で”
それ以外の選択肢はAには存在しない。
それに加え掛け布団は必須であるAからすると重要視すべき事は布団で居心地良く寝れるかどうかのみ。



『ん？ まだ寝ないんですか？』




杏寿郎「俺にそこで寝れと言うのか？！」




『……？ 当たり前じゃないですか。

………あ、でも煉獄さん…大きいですもんね。
ちょっと狭くて全部は入れてあげられないかもしれないですが煉獄さん、きっと嫌がっても無理矢理にでも入ってくるでしょうから我慢しますね、私が……。
えぇ、私が耐えますとも…』





杏寿郎「………イチイチ言い方が悪いな。
それ以前に男の前で無闇に喋るのは辞めた方が自分の身の為だぞ………。
はぁ……もう良い……疲れた」





溜息をついた杏寿郎は考えることを諦め、ことごとく理解出来ないAの元へと向かった。

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