思い通りにならない彼女【煉獄杏寿郎】其の弐

69 ページ22

杏寿郎「どうした、その顔は」





どういう事！！？
いつもと同じ顔なのに、自分ばっかり可愛い運命の女の子が居るからって見比べたに違いない……！




ぐぬぬ…………
こんちくしょう！！





『…………別にぃ』




いつもニコニコしている訳でも無いが、珍しくツンとした態度のAに戸惑う杏寿郎は、さっきまで色々としつこく説明した事で、口煩い奴と嫌気がさしたのかと頭をよぎる。





杏寿郎「えっと………その…彼女なんだが…」





遠慮しがちに説明を始める杏寿郎だが、Aの表情は唇を尖らせ聞いているのかいないのか、他所を向いていた。





すると再び館内がザワザワと騒がしくなってきた。





少し先に女性の集団が何かを取り囲む光景をAは興味深そうに見ると、そこには杏寿郎の同僚だと紹介されたことのある男がいるのに気付いた。





まさにド派手な色男、宇髄天元だ。





煉獄さんもだが、これまた宇髄さんの運命のお相手は大変だろうな…としみじみ思っている中、今の今まで杏寿郎の側にいた女性が足早にその集団へと向かって行った。




「あなた達〜！ 天元様が素敵なのは分かりますけどねぇ、天元様は私の旦那様なんです〜！！」





と、得意げに叫んだ。





……………旦那様？
……奥様でしたか、宇髄さんの。
煉獄さんの運命のお相手では無く宇髄さんの………。




うん、美男美女だ。
そう言えば昨日から来てるって煉獄さんから聞いたような…




なんと………勝手にあんな可愛いお相手でズルいと拗ねて煉獄さんに失礼な態度をとってしまった。





『………すいません…変な態度とってしまって……』




杏寿郎「あ……いやこっちこそさっきは………」




『てっきり煉獄さんの運命のお相手なのかと思って………
勝手に拗ねてしまいました…………
すいません……はぁ…』




杏寿郎「………む？ それは一体どういう……」





まさか嫉妬したのか？！ と杏寿郎は思うが、Aは勘違いで態度を悪くしたことに猛反省し杏寿郎の言葉など耳に入って無いまま部屋へとトボトボ戻っていく。

70　▶杏寿郎視点→←68

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す