5. ページ7
Side Ymmt
彼女の笑顔に見惚れていると、どこからか現れたアルバイトらしき女の子が控えめにこちらの様子をうかがい、やがて彼女に声をかけた。
「Aさん、お電話です」
「あ、ありがとう。すみません、またお待ちしています」
彼女のその言葉に我に返った僕は、慌てて会釈をして店をでた。
…Aさんって言うんだ。
みやまえAさん。
フルネーム知ってるのやばいか?とかちょっと思いつつ
でも彼女だって僕のこと知ってるならトントンじゃない?なんてそれは狡いかなぁ。
オフィスへ向かう道すがら、ぼんやりと考えるのは彼女のことばかり。
あれ、初めてお店に行ったときにスイーツお任せしたらシュークリームでてきたよね。食べたいなと思ってた時に出てきてすごい嬉しかったんだよ。僕その前にシュークリーム食べたいって呟かなかったっけ。
そういうことかあ、彼女がファンでいてくれたなら、きっとあのフォロワーの中に彼女もいて、見てくれてたんだろうな。なんだか健気に思えてきてしまう。
もっと仲良くなりたいと思う反面、お店に行って綺麗な彼女を眺めて少しお話しできればそれでいい気もしてしまう。だってそんな、お客さんと店員の恋愛なんて、漫画みたいな話、成立すると思えないし。
これで僕が連絡先渡しても破られるのが定石じゃない?
…リアリストすぎ?…いや、期待して叶わないのが怖いだけなんだ。
「おはようございまーす」
「あ、おはよう山本。ごめんね」
「いえいえ、なんかありました?」
「スケジュール的に今日撮らなきゃまずいことに来てから気づいた」
オフィスに到着すると、すでにちらほら動画メンバーも集まっている。苦笑する河村さんとそんな会話を交わしながら、僕も撮影部屋で準備に加わる。
…また呟いたら彼女は見てくれるかな。
なんて、何気ない好奇心だった。
準備をしている伊沢さんとふくらさんを適当に写真に収めて、
『今日はいいことがあったので頑張れます』
…これは匂わせってやつになるのか?
いいことくらいいいよね?僕にだっていいことくらい起こるもん。
「え、待ってなんで撮られたの?」
「いや、特に意味はないです」
「雑かよ!」
「ほら、伊沢さんファンとふくらさんファンへの供給」
「そもそもの需要が微妙だな」
投稿をしてからすぐにまだ来ていなかったこうちゃんと須貝さんもきて、そのまま撮影が始まる。
…彼女に届いてますように。
533人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます!私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…!次回もよければぜひよろしくお願いいたします! (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます!私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします! (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます!日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます!コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした!とってもとっても素敵でした…!!山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています! (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして!完結おめでとうございます!陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております! (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黄色い恐竜 | 作成日時:2020年5月21日 21時