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Side You
「…満足した？」
「うん、とっても」
サーバーに少し残ったコーヒーまで、飲んでいい？とおいしそうに飲んでくれた祥彰。
貴方が目の前にいてくれて、買ってきてくれた美味しいスイーツがあって、それだけでこんな穏やかな時間が流れるんだから素敵ね。
「Aちゃん明日早い？」
「そうね、明日も朝番だなぁ」
朝メインに入ってくれていた主婦の人が辞めてしまったので、私はしばらく朝出勤が続くだろう。早起きが続くということは、早く寝なきゃいけないということで。
決して朝型とは言えない彼と時間が合わなくなるのかな、と思うと少し寂しい。
「…またコーヒー飲み来てもいい？」
「いつでもどうぞ」
貴方にのんでもらいたいコーヒーがたくさんあるんだから。美味しい豆準備しておかなくちゃ。
次はなにがいいかなぁ、と伸びをすると頬杖をつく祥彰と目が合った。そのまま見つめあって、なんだか恥ずかしくて私から目を逸らす。
あー、と祥彰は少し不満げ。
「…煙草、吸お」
「…ふふ、いーよ」
誤魔化すように誘うと、ふっと彼は柔らかく微笑んだ。
立ちあがりカバンから煙草を取り出す。
「Aちゃんは部屋で吸う人？」
「んー、風が強くなきゃ外行く」
「そっか。廊下？」
「んー、祥彰いるならたまにはベランダ行こうかな」
玄関に置きっぱなしの灰皿と、適当なサンダルを持って戻る。
ベランダに置きっぱなしのクロックスは彼に履いてもらって、私も外に出る。
「…暑いね」
「暑いね」
蒸した空気に二人で眉をしかめながら、煙草を咥えて火を点ける。
隣に彼がいたまま、いつものように肘をつくのはなぜかひどく当たり前のような気がした。
「Aちゃんの煙草見せて」
「ん」
原色の箱にインディアンのような絵が描かれたそれを渡すと、
興味深そうにくるくる回している。
何となく私も、そこに置かれた祥彰の煙草を拝借して同じようにみてみる。
これ吸ったことあったっけなあ、とぼんやり考えつつ灰を落とし、また箱を交換した。
無言のまま、煙を吐いていると視線を感じる。
「…ん？」
「んーん、なんも」
変なの、と笑うと祥彰もへへ、と笑って、二人で一緒に灰皿に煙草を押し付ける。
「Aちゃんの煙草ちょうだい」
「じゃわたしも祥彰の吸う」
箱を振って一本出して見せると、祥彰はなにそれ！と私と手元を交互に見て、
Aちゃんすごい！って笑ってくれる。
何かが、満たされていく気がした。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
