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Side You
「美味しかった〜！！」
「ふふ、よかった」
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
仕事の癖で二人分の皿を重ねていると、その手を掴まれた。え、と顔を上げるとひひ、と笑う祥彰。
「お皿、僕洗う」
「え、いいよ」
「作ってもらったからいいの。Aちゃん座ってて」
「えぇ…」
なんだか自分がいるのに自分じゃない人が自分の家でお皿洗うのって違和感。
祥彰はなんでか楽しそうに流しに立ち、手際よくお皿を洗っている。
座ってて、と言われても大人しくいれないのは社畜の性だろうか。
今日磨いたコーヒーサーバーとポットを取り出して、お湯を沸かそうと広くないキッチンに並ぶ。
「今日は何のコーヒー淹れるの」
「コロンビアです」
「最初にのんだ奴だ」
「よく覚えてるね」
「Aちゃんこそ」
初めて祥彰がお店に来た日、本日のコーヒーとして出していたコロンビア。
一般的には少し酸味があるとか言われるけど、うちの店は深煎りで焙煎をしているので
そんなに酸味はない。むしろちょっと苦め。後味はすっきり。
お湯が沸くまで、いつの間にか洗い物を終えた祥彰とぼんやりそのまま立ったまま。
「…紫、だいぶ落ちたね」
「んね、また染めに行かなきゃ」
「次は何色にするの」
「考え中。青とかどう？」
「いいね、鮮やかなやつがいい」
少し傷んだ毛先を祥彰の指が通る。
私も手を伸ばして、祥彰のつやつやの黒髪に指を通すと、少し擽ったそうに肩をすくめた。
当たり前に触れることができる距離感に、関係になってしまったなぁ。
「祥彰は染めないの」
「んー染めないかなぁ。ピアスは開けたい」
「嘘」
「ほんと。実はちょっと興味ある」
でも怖いよねーと自分の耳たぶを触る祥彰。
わかる、わたしも怖くて開けてないんだよねえ、と返したところでお湯が沸いた。
サーバーに少しお湯を入れて、学生時代友達からよく貰うプレゼント第3位(私調べ)の大きさも柄も違うマグカップ二つにもお湯を張る。
「なんで？」
「あっためるの」
「なるほど！プロだ」
「まあね」
ドリッパーにフィルターを乗せて、粉を入れて、ゆっくりお湯を注いでいく。
「プロだ…」
「毎日やってるからねぇ」
「Aちゃんが淹れてるのずっと見てられるかも」
「そう？この粉が膨らむのが面白いよ」
「…ほんとだ！」
本当に、どこまでも素直な人らしい。
お湯を注ぐたびに膨らむコーヒーに興味津々な貴方が愛おしいと思った。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
