あの瞬間に。 (ページ13)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:41,728 hit

13 ページ13

.

湧は何か言いたそうな感じだったけどちょうどお客さんがきて私が席案内に行くとキッチンへ入っていった。

ド平日の居酒屋の17:30はお客さんが少ない。
キッチンは店長と社員さんと湧でホールはわたしと颯太くん

カウンタに1名とさっき案内したテーブルの2組しかいないから店内はすごい落ち着いてる。暇だなーなんて思いながらぼーっとしてるとピタッと隣にくっついてくる人影。

「…わ、びっくりした。颯太くん？なに？」

「あのね、湧めっちゃAちゃんのこと心配してたよ」

俺も心配したけどね？と笑う颯太くん

「なんか…うん、ごめん、普通に爆睡してた」

「夜寝てないとか？てかきのう途中で記憶なくしたんだけど黒ちゃんと湧と俺帰った気がすんのね」

「うんうん、颯太くん途中で寝てベロベロの光輝くんと一緒に湧が連れて帰ってたよ」

「そー、で、マキちゃんは泊まったの？深田は？」

「…あー、マキちゃんは檜山くんが迎えにきてくれて、深田くんは普通に帰ったよ」

「……そっか？」

「うん、てか二日酔いだいじょうぶ？」

なんか、颯太くんに見透かされそうで、深田くんと朝まで一緒にいた、なんて別にやましいこともしてないし別に隠す必要もないのに、なぜか嘘をついてしまった。

「うんおれはへいき、Aちゃんはへいき？」

「少し頭痛いかな？でもへいきだよ」

「ほんと？むりしないでね」

ぽんっとわたしの頭の上に手を置く。

すいませーん、とお客さんから声がかかってはーいと颯太くんが返事をして向かっていった。

「なーに颯太とイチャイチャしてんだよ」

「ちょ、いたい、なにするの！」

急に後ろから腕が伸びてきてデコピンされた。

「湧は今日キッチンでしょー」

「暇なんだしいいじゃん」

はいこれ飲めば？と中ジョッキにキンキンに冷えた水が入ってる

「ん？お水？」

「二日酔いでしょ」

「…さすがわかってるじゃん」

まあね、と言って笑った湧

それから少し経って徐々に混みあって来て上がったのは24時

颯太くんは終電があるからってダッシュで帰っていって湧はいつもどおり帰るか、と言って一緒にお店を出た。

.