あの瞬間に。 (ページ11)

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テレビ横にあるラックの扉を当たり前かのように開けてふわふわの毛布を取ってソファに座るわたしの膝にかけてとなりに座る深田くん

「･･･ばしょ、」

「ん？」

「んーん、なんでもない、ありがと」

「おう。･･････なんか変な感じ、久しぶりすぎて」

「なんでよ、さっきも話してたじゃん(笑)」

「いやみんなもいたじゃん、」

膝にかけてくれたこの毛布の場所もテレビを消してリモコンを定位置に戻すのも、未だに覚えててくれたんだって少し驚いた。さっきまでいたみんなはきっとこの毛布の場所はわからないだろう。

深田くんとは、大学入ってすぐサークルで仲良くなってから、ふたりでご飯にも行ったし、こうやって家に遊びに来たり、いったり。話も合うし好きなものも似てるからただただ一緒にいてたのしかった。

このまま付き合うのかな、なんて、そこまでは考えないけど。もしかしたら、深田くんのこと気になるのかも、って思ってた頃、深田くんの隣には違う女の子がいた。

それを知ってショックを受けた訳でもないし、喜んでもないけど、今まで通り話せなくなったことが1番ショックだった。

「･･･なんで急に彼女作ったの？」

「え？」

「いや、深田くんからそういう話聞いたこと無かったし、さっきみんないる時に言ってたけどあの子のこと好きじゃなかったんでしょ？」

そういうと複雑そうな顔をしてうーん、と何か言いたそうだけど言えない、見たいな、そんな顔

「･･･結論好きじゃなかったし、好きにもなれなかった、

まあ俺、結局Aちゃんのこと、」

「まって、ストップ」

「ええ、言わせてくれないの？(笑)」

知ってたけど知らないフリをしていた、自分の気持ちも分からないから。

「･･･立候補するって言ったのは忘れないでよ？」

「うん･･･ありがと」

深田くんは本当に優しいから、こうやって私のワガママに付き合ってくれる。

「あ、久しぶりにホットココア飲みたい、上にマシュマロのってるやつ」

「よく覚えてたね、待ってて作るから」

深夜2時、男女屋根の下でホットココアを飲みながらテレビもつけずにこの数ヶ月話せなかったことをお互い話して笑いあって、やっぱり深田くんの存在は大きかったんだと自分自身に知らされた。

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