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仮にも、先週はじめましてだったような相手。
一応、多分、長年の想い人。
それでもこんなに普通に話せてしまうのは、そこにあまり感情がないからか、と考えて、すぐにやめた。
それを素直に頷けないほどに、心臓がうるさく動いているし、さっきから口内は乾いて仕方ない。
それがどうしてか、分からないほどわたしはバカじゃない。
片肘をついてこっちを覗き込んでくる、今目の前にいる黒尾さんに。胸が高鳴るのは、きっと間違いなんかじゃない。
おじょーちゃんお待たせ、と威勢のいい声と共に運ばれてきたサンマの塩焼きに、余計なことは一旦置いておこうと箸を手に取る。
『美味しそう…！いただきます』
「ふは、召し上がれー」
『…黒尾さんは食べないんですか？』
「いーや？俺はもう食いましたんで」
食べ終えた。それならどうして今もなおここにいるのか。
笑顔を浮かべる彼の真意を図ろうとするけれど、美味しそうなサンマを前にそんなことを言ってる余裕はなかった。
特に返事をすることもなく、まだ熱いサンマをほぐして口に運ぶ。柔らかく味のあるサンマに塩気が加わって、とてつもなく美味しい。
やっぱり季節のものは格別だった。
直帰せずにここまで来た自分を褒めたい。
「すげぇうまそうに食べんね」
『え？』
「そんなうまい？サンマ」
そこでやっと隣の黒尾さんの存在が思い出された。
思い出せば、また蘇るときめきのせいで喉が詰まる。
バレないように頷き、付け合わせのお新香をかじる。そんなわたしの動揺を読み取ったかのように、黒尾さんは満足そうに笑った。
「俺、このあと軽く飲むつもりなんだけど、オネーサンも来る？」
『…それは、誘ってますか？』
可愛くもない言葉。
でも、わたしにとってこれは精一杯の言葉だった。
お箸に掴まれたサンマごしに、黒尾さんの表情を盗み見る。
「うん、誘ってます。
むしろ、この場合それ以外あります？」
どうする、と右の口角を上げた黒尾さんは、わたしの答えなんてわかっているかのようだった。
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nameless - 1話1話読み進めていく毎に高揚感が募っていくような作品でした！またいつか、続きを楽しみにしております (12月20日 10時) (
レス) @page42 id: e6c0ea655a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 水傘るんさん» 水傘るんさん！ありがとうございます！このシリーズに黒尾さんは必須！と思っていました！大人ですよね…！ありがとうございます頑張ります！！ (2023年3月31日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 菜花さん» 菜花さん、ありがとうございます！彼らの大人時代はどんなのかなぁという妄想から始まった作品ですが、そう言っていただけて嬉しいです🍀💚今後もぜひよろしくお願いいたします！ (2023年3月31日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
水傘るん(プロフ) - 面白すぎます........えっやばい。黒尾さぁん.....大人の男すぎますって....最高です....！！！無理されない程度に更新頑張ってください！！応援してます！！ (2023年3月26日 2時) (レス) @page27 id: e67109cbac (このIDを非表示/違反報告)
菜花 - めっちゃ大人って感じのハイキューの小説が読めるとは…！と感激しています！スッと内容が入りやすくて魅了されるような文章で尊敬します！なんか上からですみません！応援してます！ (2023年3月20日 3時) (レス) @page27 id: da77361163 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年1月20日 20時
