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今日の光くんは、ずっと俯いたままで。
どうしたのかと顔を覗き込もうとすると、瞬間、勢いよく顔を上げた光くんと目が合った。
その目は、わたしだけを映していて。
背中を、冷たい何かが流れ落ちた。
「赤葦と、何話してたの？」
『え？赤葦先輩？』
「……さっき。試合終わってすぐ、赤葦のとこいたじゃん」
『ああ、あれは…』
「お疲れ様、って俺より赤葦に先に言うの、何で？」
聞かれたことに答える間もなくただ言葉を続ける様子に、光くんが今求めているのは何だろう、なんて冷静に頭が回る。
そんな冷静さも、すぐになくなるのに。
「うちの今日の勝率、赤葦に聞いたの？」
それは雪絵先輩に聞いたから。
そう言いたいのに、上手く声が出なかった。
何が原因でもない。
ただ、光くんの表情を見たら、声が出なかっただけ。
「赤葦といる時、すんげー楽しそうだった。
Aの一番、俺じゃなくて赤葦なの？」
いつの間にか距離を詰めた光くんが目の前にいた。
鋭く光る眼差しに正面から捕まって。
逃げる必要はないのに、逃げたくなる。
口を開いて、息を吸っても、酸素が脳に回らない。
さっきまでちゃんと機能していた頭がぼーっとして、熱がこもる。
『っ、わたし、片付け手伝ってくる！』
耐えきれなくなって、それだけ言い捨てるようにして体育館の隅に逃げた。
その先にいる人に気づいていたけれど、そんなことを考えている余裕はない。
光くんを頭から振り払うように走って、肩で息を整える。
「いいムードだったのに、何で逃げてんの」
『……聞いてたんですか、黒尾さん』
「君らが騒いでたから聞こえちゃったんでーす」
身体をくねくねさせながらわたしの背後をとった黒尾さんは、やっぱり高い位置からニヤリと見下ろした。
「いいの？考え改めて、俺に宣言した割には逃げ腰じゃん」
『、意識しちゃうと、何だかあれで』
「それこそ今更でしょ」
『……だってあんな、嫉妬、みたいなの』
「…みたい、じゃなくて、あれはどう見ても嫉妬でしょーよ」
息が整っても、まだ心臓がうるさい。
脳裏には、さっきの光くんが焼き付いている。
あの日、体育館で見たような。
力強く、凛々しく、猛々しく、雄々しい。
そんな光くん。
もしかしたら本当に、光くんに気持ちを受け入れてもらえるかも、なんて。
熱に浮かされた頭で、そんなことを考えた。
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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます！励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (
レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2022年11月30日 21時
