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(赤葦side)
彼女のバレー好きの話。
饒舌になってもおかしくないその話題で、
なぜか黙り込んたAさんをそっと覗き込むと。
彼女は、とても、優しい顔をしていた。
『わたし、光くんも、バレーも、大事にしたいんです』
「大事に、してるように見えるけど」
『頑張ってるんです』
「だから、木兎さんに告白、しないの？」
『ふふ、似たようなこと、前に黒尾さんとも話しました』
黒尾さん。
音駒高校バレー部キャプテン。
あの人も知ってるのか。
そういえば、以前の音駒との練習試合。
Aさんと黒尾さんが2人で話し込んでいる場面があったと思い出す。
『しないですよ』
「…」
『光くんが、バレーを大事にしてること、知ってるので』
俺の知っているAさんの声より幾分も、
はっきりとした、凛とした声だった。
迷いなんてない。
明確な、揺るがない意思を感じる。
「それとこれとは、別問題な気がするけど」
『同じですよ。バレーをちゃんと大事にしてほしいから、言わないんです』
へへ、と口元に手を添えて笑った彼女に、胸が痛む。
Aさんにここまで想われてる人がいること。
それが俺が憧れた人であること。
ただ、それだけの事実が、俺の首を締めてくる。
木兎さんを想って笑う彼女は相変わらず綺麗で。
でも、この時はどこかぼんやりと違和感を感じた。
それが何か、なんてすぐにはわからなくて。
俺が答えを出すより先に、Aさんが目を伏せた。
『なんて』
「うん？」
『…本当はわたし、拒絶されるのが怖いんです』
拒絶。
予想よりも何倍も強いその単語に、ごく、と喉が鳴った。
Aさんにも、木兎さんにも似合わないその単語を、彼女はいとも簡単に口にした。
『光くんが、バレーよりわたしを選ぶことなんて、絶対にないってわかってるから』
本当に、そうだろうか。
彼女の話を聞きながら疑問がわく。
木兎さんの、体育館でのあの様子。
獲物を狙うような、ギラギラと見開かれた、あの瞳は。
体育館を覗く俺に向けられた、あの鋭い迫力は。
Aさんへの独占欲で溢れていたのに。
あれを見て俺は、敵わない、と思ったのに。
「…絶対なんて、そんなこと」
『絶対です』
絶対、と繰り返す彼女の表情はかたかった。
その目は真っ直ぐ先を見ていて。
それが、木兎さんとよく似ていると思った。
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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます！励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (
レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2022年11月30日 21時
