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さほど遠くない体育館から、
ボールの音、シューズの音が聞こえてくる。
それでも、彼の声は、はっきり聞こえた。
『それは…日本の、ですか？』
「もちろん日本もだけど、それだけじゃねぇよ。
世界だって、一番があるなら俺はそこにチャレンジしたい」
『世界…』
どれも、初めて聞くことだった。
世界。チャレンジ。
平々凡々な毎日を生きるわたしとは、
縁のない言葉たち。
心臓がバクバクと音を立てる。
ゴクリ、と唾を飲み込む音がする。
それが自分のものか、
それとも目の前で堂々と語る彼のものか。
そんなこと、考える余裕はなかった。
「だからさ、」
「おーい、そろそろ休憩終わりだぞー
山本、やっくんどこ行ったか知らねぇ？」
「あれ、夜久さんなら水道行ったきりっスかね？」
体育館から聞こえた黒尾さんの声。
やっくん、という声に、彼も反応したのがわかった。
「やっべ、そろそろ戻らねぇと」
『あ、すみません！こんなとこで長話を…』
「俺が好きで話してたんだし、気にすんな」
そうだ。
今は練習試合の最中。
休憩時間とはいえ、彼らにとっては大事な時間であることには変わりない。
反射的に下げた頭を制するように、
そういや結局名前は？と上から続いた声。
『あ、わたし、梟谷の1年で、AAといいます、！』
「俺は音駒の3年、夜久衛輔だ」
『夜久、さん』
「おう！好きに呼んでくれ」
名前よりも、もっと。
何か大事なことを聞いた気がしてたけど。
やっと知った名前を口の中で転がすと、
何だか嬉しくなった。
「ま、残りもゆっくり観てけよ」
『はい！ありがとうございます！』
「ん、元気でよろしい」
じゃあなA！と軽やかな声とともに、
頭に残るあたたかさ。
何の抵抗もなく名前を呼ばれた衝撃と、頭を撫でられた衝撃。
そのダブルパンチに、思わず顔が熱くなる。
さすが東京。スマートイケメンだ。
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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます！励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (
レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2022年11月30日 21時
