水に溶けたい。肆 【冨岡義勇】

第佰弐拾漆話 ページ12

.









悲鳴嶼さんの話も終わり、帰ろうとする。





(義勇...。どうしたらいいんだろう...。)






頭の中は義勇のことでいっぱいだ。


あんなふうに言われるのは初めてで...ショックすぎる。








「...、。...！！もしも〜し、Aさん！」



ボーッとしてたみたいで、しのぶが呼んでいるのに気づかなかった。




『あ、ごめん、何？』



「...御館様が、お呼びだそうです。」







御館様が...？一体、なんだろう。


しのぶも呼ばれているみたいで、一緒に御館様の元へ向かう。







「...Aと...しのぶかな？


よく来たね...ｹﾞﾎｯｺﾞﾎｯ」




『御館様...！ご無理はなさらないでください...！』




御館様は、全身が包帯で巻かれていてとても痛々しいお姿だった。





「今回の要件、なんだけどね...



A、珠世さんのことを知っているだろう。」





『！！何故、御館様がそのことを...。』





「勘、だよ...。


大丈夫、Aを咎めたりするつもりはないから。」




流石...御館様。この方相手に隠し事は出来ない。


で、一体どんな要件なんだろうか。







「...しのぶが藤の花の毒を飲んでいることは知っているかい？」



『！？いいえ、...。』





「しのぶはね...仇討ちになったとしても、カナエの仇を取りたいと思っているんだ。


だから今、しのぶの体には...藤の花の毒が回りきっている状態、なんだよね？」




「はい。」





待って...御館様今なんて仰った？？

仇討ち、そして藤の花の毒がしのぶの体に回りきっている...？









しのぶ_____________________死ぬつもりなの？









「しのぶの命懸けの毒でも、上弦の鬼の滅殺は厳しいと思うんだ。



その確率を少しでもあげるため____________







珠世さんと共同研究をしてくれないかな、」








しのぶは...複雑な顔をしている。


きっと...自分の毒で、自分の毒だけで仇___童磨を滅殺したいんだろう。



私はしのぶが死ぬなんて自分が死ぬことより嫌だけど、しのぶが命懸けでやっていることを無駄にする訳にはいかない。



だから、だから________________





『...しのぶ、共同研究、しよう。』







.

第佰弐拾捌話→←第佰弐拾陸話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す