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「…え、森本くん、」
「ホントにいたのかよ」
「いこーぜ」
ナンパ集団はゾロゾロと離れていく。
…怖かった、
「…Aちゃん、大丈夫？」
「も、森本くん…ごめん、ありがと」
「なんで1人でこんなとこいんの？危ないじゃん」
「陽菜と、待ち合わせしてたんだけど…」
カバンが振動する。
…携帯？
見ると、陽菜からメッセージが届いていて、
『ごめん！行けなくなっちゃった！！！！』
なんて書いてある。
無事だったのか…なら良かった。
「A」
「！？な、何…呼び捨て…
てか、なんで森本くんも一人、？」
「俺、友達にドタキャンされたんだよね」
「……私と一緒だ」
「え、Aちゃんも！？！？」
じゃあ一緒に行かない？と腕を優しく引かれる。
「…でも」
「浴衣、めっちゃ似合ってる」
「へ、」
「…それ、自分で選んだの？」
「う、うん……これが1番可愛くて…
あ、あとね！これ作ったデザイナーさんのエピソードも凄くカッコよくて！それで、これに惚れちゃったんだよね」
「…そ、」
「あ、ごめん、テンション上がっちゃった」
「いや、いいよ、そんな感じのAちゃん滅多に見られないし」
「なんか食う？」
「えと…」
屋台を見回す。
あ…あれってりんご飴？
夢だったんだよなあ。…でも何か恥ずかしいし。
「や、焼きそば…」
「あ！俺りんご飴食いたい！」
「え」
グイグイと腕を引かれ、りんご飴の列に並ぶ。
「Aちゃん、はい！」
「お、お金」
「いいのいいの！男に払わせなよこれぐらい！」
優しすぎて、いつもと雰囲気が違いすぎて、
男性に免疫のない私には刺激が強い。
…くそ、森本くんの癖に。
「…ありがと」
「んふふ、どんどん行こ！」
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作者名：もずく | 作成日時：2020年5月9日 23時
