四十二話 ページ44
少し人気の少ないところに来た。もう裾を掴まなくても追いかけられる程度だ。手を離すと案の定シワになっていた。放っておこうと思っていたが、本人が至って真面目な顔で歩いておりいたたまれなくなったのでパタパタはたいた。
『鬼の気配ですか』
「近いだろうな」
二人で闇の深い路地へと目をやる。
音を立てないようにその奥へと向かう。
「…ん!」
前方を歩く冨岡さんが抜刀、闇を切り裂いた。
「ぐえっ」
鬼と思われる声が聞こえた。
私も刀の柄に手をかけ距離を詰める。
鬼の走り去る音が聞こえた。すかさず追いかける。
追いつくと、すこし開けた所に出た。
「水の呼吸、参ノ型」
鬼が振り返るのと同時に、冨岡さんは首を狙う。
「流流舞い」
軽やかな足取りで鬼の懐へ飛び込んだ。避けられ、冨岡さんは方向を変え両足を落とした。切られた分だけ縮む鬼。しかしすぐ再生は始まっていた。
…一筋縄ではいかないだろうな。知ってた。
『漆ノ型、無為の律』
できた隙を見逃さず、飛び上がって切りかかる。
「…ちっこいのも強そうか」
切りかかり腕を落とすと、反対の腕ですごい速度で叩きあげられた。体を丸め刀で受ける。
『ぅぐ…っ!?』
突然ふわ、と体が浮き上がり自由が効かなくなった。
「A!」
冨岡さんが私を掴もうとしてくれたが、鬼からの攻撃を受けなかなか届かない。そうしている間にも私はどんどん高度が上がっていく。
「俺の血鬼術はすごいぞ、叩いたものを知らないところに飛ばすんだぜ」
「っ…」
「お前も飛ばしてやる!」
冨岡さんは同じ手にはかからないだろう、腕はひょいひょいと避けている。…しかしどんどん上がっていくため冨岡さんの姿もかなり小さくなっていた。
そうか、隊員が会う度姿を消す鬼というのはこいつか。食えるくらいの弱いやつは食い、負けそうなやつは不意打ちで飛ばす。汚い奴だ。
しかもどこに飛ぶか分からないときた。異国の地に飛ばされることは無い…とは思うが、上がる速度もあがっており耳がキンとした。不安になってくる。
…下方で、鬼の首が飛ぶのが見えた。ならば血鬼術も解け…
「A…っ」
建物を足場にして冨岡さんが私を追いかける。手が届きそうになったところで、私の体が横へ吹っ飛んだ。
冨岡さんはそのすぐ下の建物の屋根へ着地。その姿がどんどん遠ざかる。まだ鬼は消えきっていなかった。
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時