四十一話 ページ43
ここへ来たのは当然鬼の噂がたったためで、柱も派遣されたということはまた強い鬼なのだろう。
『冨岡さんはやい、待ってくださいってば』
「裾を引っ張るな」
『掴んでいいって、言ったのは、冨岡さんですっ』
私にはもちろん周りにも容赦なくずかずか進んでいくのはどうかと思うが、文句を言おうにも余裕が無い。
だいたいどこに向かっているというのか。
「この街は以前、炭治郎が鬼舞辻無惨と遭遇したところだ」
『え!?』
初耳である。そんな所に柱二人でいいのか?鬼の親玉ってことはとんでもなく強いのだろうが…
「まあ今回の任務は別の鬼だ」
『ですよね』
突然冨岡さんが方向転換した。辛うじて後を追う。冨岡さんの羽織破いてしまうかと思った。
店に入った。甘い匂いが漂う。…甘味処か?
「事情聴取してくるからお前は菓子を見ていろ」
『事情聴取なら私が行きます、冨岡さんそういうの苦手ですよね』
「大丈夫だ」
本当だろうか…と思いつつ、甘い匂いに釣られて店の奥へと歩みを進める。
ちょこれーと。きゃらめる、ぷりん…
見たことの無い見た目のお菓子と横文字の羅列に目が回る。いい匂いがする。そして高価。冨岡さんに買ってもらおう。
「君、洋菓子屋に来るのは初めてかい」
私が目を輝かせて眺めていると、突然知らない男に話しかけられた。気配に気づかなかった。
『は、はじめてです。どちら様ですか』
「私はこの辺りに住んでいるんだ。見たところ田舎育ちだろう。菓子について教えてあげよう」
親切なおじさんだと思ったが、どこか悲しさを漂わせていた。
この茶色い菓子はいつ、どこで発祥で…と説明され、うんうんと頷きながら聞き入る。途中木の棚に引っ掛けたのか手の甲に傷が入ったが、それよりお菓子が気になった。
突然男が不審そうな顔をした。何だろう。試食しすぎてしまったのだろうか。食いすぎと引かれたか。
「A」
冨岡さんが来た。男にぺこと一礼し、試食して美味しかったプリンを冨岡さんに押し付けて店をあとにした。帰ってから食べるのが楽しみだ。兄にも少し分けてあげよう。
「あれは誰だ」
『わからないけど菓子についていろいろ教えてくれました』
「知らない奴には着いていくな」
『さすがにのこのこついては行きませんよ』
その辺の一般人よりは強い自信がありますから、と言っても冨岡さんはもう聞いていなくてまた人混みに突っ込んでいった。慌てて裾に掴みかかり駆け足で追いかける。
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時