二十五話 ページ27
髪が抜けている。こんなに初期の段階で抜けるのか…なかなかえげつない。
「ぱうっ…」
突然、彼は木の上で脱力した。
…え、脱力?失神?
え?
「なんだ、腰抜けめ」
え、なん……え??
理解が追いつかない。彼と出会ってから困惑することばかりだ。思考が爆発しそうである。
彼鬼殺隊だよな?
『我妻さん?我妻さん!』
「あとはお前だな」
鬼がこちらへと向きを変える。もう彼のことは放っておいて一人でやるしか…勝てない相手ではないだろう。
二人もいるのに一人での戦闘か。よもやよもやだ。
多対一に適する型はひとつしかないため、よく見極めなければならない。早くしないと、彼がまた蜘蛛に…
「…雷の呼吸、壱ノ型。霹靂一閃」
突然、雷のような音がした。彼のいた方だ。めをやれば、彼は木の上からは居なくなっていて…真っ直ぐ鬼へと向かっていた。
鬼は、あの溶ける液体を口から吹き出し応戦する。彼は身を捩って避けきった。
…やれば出来るではないか。
『我妻さんは鬼をやるのですね』
返事がない。
『我妻さん?』
「雷の呼吸、壱ノ型…」
声が聞こえていない?耳がよかったはずでは…
「霹靂一閃」
ドンッと足を踏み切り、また鬼の方へと向かう。
…寝ながら戦っているのか。相変わらず液体をぶちまかれ鬼には届いていないが。
ならば私は足元の蜘蛛をいなそう。
なにより、彼の戦い方を見てみたかった。
血を吐き、よろめきながら、同じ型を繰り返す。もたなくなったら、私がゆこう。
蜘蛛に邪魔はさせない。思い思いに戦ってくれ。
…空気が揺れた。
「壱ノ型…霹靂一閃、六連!」
ドドン!
本当に雷が落ちたような音だ。気づけば鬼の首は飛んでいる。
なるほど、壱ノ型の派生か。私の技もなにか派生して、もっと広範囲を斬れる技をつくりたい。課題が見つかった。ありがたいことだ。
じっとみていれば、高く飛んでいた彼がボテッと小屋の上に落下した。鬼の気配の消滅を確認し、その近くに飛び乗る。
『我妻さん。大丈夫ですか』
「…げほっ、げほっ」
『いま胡蝶さんを呼びます。もう少しの辛抱です。お疲れ様でした』
「…A、ちゃん…倒したの、やっぱり…強い、ね…げほっ」
『私じゃありません。とりあえずそれはいいので、呼吸を。毒の進行を遅めてください』
そう言えば彼は大きく息を吸い込んで、目を瞑った。
兄には及ばないが、彼は十分に強い。
安静に、と声をかけて、私は駆け出した。
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シャンプー(プロフ) - ゆーさんさん» 不快に思われたのなら申し訳ありません。注意書きを付け足しておこうと思います。 (2019年8月9日 12時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーさん(プロフ) - あくまで二次創作ですので、時透母についてはこういう人なのだというような感想を持たないようにお願いします。 (2019年8月8日 17時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - にこちゃんさん» ありがとうございますー!!!私も時透くん推しです!!じわじわ書き進めておりますのでまったりお待ちくださいませ…!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
にこちゃん - 私、推しが時透君なので嬉しいです!更新待ってます!応援しています!! (2019年7月22日 21時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!時透くんかっこかわいいですよね!頑張ります…!! (2019年7月22日 17時) (レス) id: 2be3b2296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンプー | 作成日時:2019年7月22日 1時