銀魂キャラにしてほしいこと【銀魂】【短編集】

誕生日を祝ってほしい！ver.甘め【沖田総悟】　あこやさんリク ページ26

「誕生日おめでとう！」

今日、たくさん言われた言葉。確かにそれはとても嬉しかった。

でも、一番祝ってほしい人から、茶髪で童顔でドSな恋人から、おめでとうが聞けていない。



只今23時48分。もうすぐ私の誕生日が終わってしまう。

何回もLINEや着信をチェックしたけど、彼からの連絡は今日は一度もなかった。

普段からまめに連絡する人ではないけど、彼女の誕生日におめでとうの一言もないのはひどくない？そんなことを考えていたら、机に置いて眺めていたスマホが、待ってましたとばかりに震え出した。

流れてくるのは、私が世界一好きな曲。総悟からの電話の着信音にしている曲。

私は大きく息を吸って、電話に出た。

「総悟、遅」

「今、お前ん家の前にいるから出てこい」

文句を言おうとした私の声は衝撃的な言葉で遮られた。

「えっ、嘘っ！」

「嘘じゃねーよ」

門の方を見ると、確かに、見慣れた茶髪がそこにいた。

「今すぐこい」

そう言って総悟は電話をきってしまった。

頭の中で疑問がぐるぐる回っていたが、とりあえず、パジャマの上にパーカーを着て、飛び出した。



「ちょっとどういうこと！？」

玄関のドアの前で、総悟はスマホを見ていた。

私の問いかけに答えるでもなく、じっとスマホを見つめる総悟に苛立ってきたとき、

「3、2、1」

彼の綺麗な形の唇が動き、そこから

「おめでとう」

という言葉が溢れた。

「え？」

私がポカーンとしていると、

「すっげー、アホ面」

彼はポーカーフェイスを崩して笑ってから、

「9月21日23時54分」

と告げた。

ああ、そっか。

「覚えててくれたんだ」



いつか、私が日付が変わる直前に生まれたことを話したっけ。

面倒臭がり屋な彼がその具体的な数字まで覚えているなんて、奇跡に近いんじゃないかと思った。

「お前のそのアホ面を拝むために覚えててやったんだよ。感謝しろィ」

「ありがと」

いつものドSとは程遠い赤い顔の総語の明らかな照れ隠しに、笑みが溢れる。

「どうせだから、日付変わるまでこうしてろ」

そんな言葉と一緒に、私は彼の腕の中に閉じ込められた。彼の腕は、力強くて、それでいて優しい。

「俺はお前と一緒にいてェ」

耳元で囁かれた言葉がくすぐったくて、フフッと笑う。

「どうしたの」

「来年も、再来年も、ずっと」

「私もだよ」

「他の男によそ見したら、許さねー」

「そのまま返すよ」

「あと、」

「ん？」

「お前を一番笑顔にすんのは俺だ」

普段なら絶対に言ってくれないセリフ。

「うん」

幸せなので、ここは素直に受け取っておこう。

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