依存症。 (ページ8)

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｢だけどそれは自分も入ってて、俺さ、一回触れたらもう戻れないと思うの。｣
｢ぅん？｣
｢覚えたてのように何回も求めちゃうと思う。｣

…意外だった。そういう事にもあまり関心が無さそうなのに。
そうなんだ、

｢幸せを感じる度に終わるのが怖くて、Aを求めて求めて結局壊しちゃいそう…｣

北斗、そう思ってたんだ。
決して私に魅力がなかったとかそんなんじゃなくて。
アクリルケースに飾るってのは、そんな自分から私を守る為の言葉でもあるんだ。

…壊していいのに。
終わりが来るのならば貴方の手で壊れたいって思うの。

ずっと抱きしめていた腕と顔を離して目を見る。

｢そう思うとやっぱり怖いんだよね。俺がAを駄目にする。｣

北斗は一瞬私と目を合わせてから視線を逸らす。

｢ほくと、｣
｢俺じゃやっぱりダメなのかな。｣
｢…っ、｣
｢俺じゃ、ダメなんだろうな…。｣

ねぇ北斗？
なんで私達って出会っちゃったんだろうね。
こんなに好きで好きで堪んないのにどうしてこんなに苦しいんだろう。

お互いが私じゃダメ、俺じゃダメって言いながら
貴方じゃなきゃだめ、君じゃなきゃだめって心で叫んでる。

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｢北斗？｣

俯く顔を両手で挟んで目線を無理やり合わす。

｢壊していいよ。｣
｢A、｣

北斗の目が揺らぐ。
もうどうしようもないんだよ。
どうしようもないからこそ、貴方を求めたい。

｢…私は？｣
｢…ん？｣
｢北斗のこと、壊してもいい？｣

そう言ったら少し驚いた顔をして、
でも直ぐに下を向いてフッと笑って

｢いいよ。｣

ってそう答えるんだ。

…その言葉がはじまりの合図で
私が両手で挟んで固定してた顔に優しく唇をくっつけると
北斗は私の後頭部を手で固定して
今までのキスは何だったんだろうって思うくらい私を求めるキスをした。

＿＿私達が恐れていながらも手にした、
"愛に堕ちていく"という事は。

とっても簡単に堕ちて幸せで、

そして、とっても深いものだった。

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