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青宗くんとお店の裏に行き、車に乗る。
鍵を刺して、エンジンをかける彼の横顔は世で言うイケメン。なんて、変な緊張が走って余計なことを考える。
「どうかした?」
『ううん、なんでもない』
ちょっと見すぎた。
慌てて目を逸らして何も考えてない、ということを伝えるように前を向く。
『(…そういえば、ここで初めて真一郎とバイクに乗ったっけ)』
ヘルメットの重たさ、真一郎が腰に巻いてくれた作業着、そんな思い出が急に蘇ってなんとも言えない気持ちになる。
「大丈夫か?」
『うん、大丈夫』
私、彼らに嘘をついてばかりだ。感動の再会のはずなのに。私から遠ざけている。
まるで「この場所は嫌だ」というように。
「Aちゃん」
『なに?』
青宗くんは車を出発させず、前を向きながら私の名前を静かに呼び、私は条件反射でそう返答した。
けれど、すぐにそれを後悔した。
「俺しかいない。俺も聞き流す。だから、言って」
『!』
酷く優しい彼の声に、心が染み渡るように熱くなった。
ポタポタと、再び涙が溢れた。
「全部、Aちゃんの独り言だよ」
こちらは向かず、それだけ言う。
『ッ、わ…たし』
だからか、私はスラスラと言葉が出てきてしまった。
そして、話始めた。今日までのことを。12年前、皆んなの前から姿を消した後のことを。
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水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時