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『蘭、今日は遅いな…』
でも、今日を逃したらダメだ。
二次会、三次会をハシゴしまくって家に帰宅したのは2時。散々迷った挙句、やはり蘭を訪ねることにしたが彼はまだ家に帰っていないようだった。
竜胆もどうやらまだお仕事中らしい。
『はあ…』
少し眠くなってきた。けど、我慢。
ちゃんと会って、それで。
『…なんて、言おう』
万次郎のことを言おうか、でもそれは、なんだか違うだろう。
悶々と蘭の家の前でボーッと考えていたら「何やってんの」と声をかけられ、顔を上げれば蘭がいた。
「なんか久しぶりじゃん〜」
『(………なんか、私、わかっちゃった)』
「とりあえず入る?」と私が喋るのも待たず、いつもの何考えてるかわからないニコニコ笑顔で私を誘った。
『蘭、ずっとそばにいてくれてありがとう』
部屋の扉を開けようとした蘭の手が、止まった。
『私、もう大丈夫だよ』
「…そっか」
そう言って、またニッコリ笑った。
少しだけ、寂しそうな笑顔に見えるのは気のせいだろうか。
そんなことを考えていると、おろしていた私の髪の毛を蘭の手によって少しだけまとめられる。
そして、次の瞬間には剥き出しになった首筋に唇を落とされていた。
「幸せになれよ」
そう言って、私の髪の毛を掬い、そのまま静かに部屋に入って行った。
『(…やっぱり、そうだったんだね)』
蘭は、本当に、私のことを好きでいてくれた。
なのに私は、ずっと甘えて。しがみついて。懇願して。
きっと、たくさん蘭を傷つけた。
『ぅっ…っぁ…』
まだ熱が篭る首を抑えながら、エレベーターの中で崩れ落ちる。
『ら、ん…っ』
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
私がもっと強かったら、賢かったら、早く彼に会いに行っていたら。
ここに引っ越して来なければ、あの日、バッタリ出会わなければ。
『(…それは、違うよね)』
蘭との思い出を、運命を後悔するのはきっと違うだろう。
『ありがとう…っ』
寂しい時、苦しい時、そばにいてくれて。
どんな時も駆けつけてくれて。我儘もいっぱい聞いてくれて。
『……きっと、幸せになるよ』
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水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時