愛してた ページ37
□
カツ カツ
裏倉庫の屋上へと続く階段をゆっくり、ゆっくり上る。
式場を一心不乱に飛び出して、タクシーを適当に掴まえて、窓の外を眺めて揺られながら、真一郎のお店へと辿り着いた。
『っはぁ、はぁ…ぅ』
息が、苦しい。
『ゲホッ…ゴホッ、ハァッ』
意識が朦朧としているのは痛いくらいわかった。
多分、過呼吸状態。
『(…これで、3回目)』
彼と再会してから、もう3回目だ。
確かに、彼といると不幸になるのかもしれない。
『ハハッ…』
思わず笑いが溢れてしまう。
どんな感情なのかは、もう自分でもわからなかった。
『ハァッ…ぅ、ッハ…』
真一郎、場地くん、私を犯そうとしていたヤツら。
万次郎といたから、どれも起こったのかもしれないね。
でもね、万次郎。
私は貴方と離れていても不幸だったんだよ。
これは、どうしようもなく運命なんだ。
“もうどうすればいいのかわからない”
それに尽きた、楽になりたい。
屋上に着いて、フェンスもなく剥き出しになっている先へと進んでいく。
久しぶりに履いたヒールの高い靴を雑に脱ぎ捨て、私は真下の地面が見えるくらいのところへと立った。
死ぬなら、ここがいい。ここじゃなきゃ嫌だ。
『…高』
判断が鈍っているのか、恐怖以前にその高さに驚いた。
一歩だけ踏み出して足を空へと運ぶ。
「おい!何やってるんだ!!」
「やめなさい!」
「え?飛び降り?」
「ちょ、警察…!」
そんな声が下から聞こえて来て、日曜日で真っ昼間だから「そりゃ人もいるよな」と呑気に考える。
『…ごめんね』
ヒナちゃん、タケミチくん。お祝いできなくて。
『しんいちろー…』
ごめん、罰当たりなことして。
『……まんじろー』
“愛してた”
「Aッ……!」
□
771人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時