Only You……S.K. ページ38
夜遅く帰ってきて、
今日も原稿してるだろうなーって、書斎を覗いたら、真っ暗だったからびっくりした。
でもリビングにもキッチンにもいなかったけど？？
って、また書斎に入って電気をつけようとしたら
｢つけないで｣って低い声がした。
えええ、って不審に思いつつ声の方に歩いていってみたら、わたし専用ひとりソファに足を折りたたんで可愛らしくまるまっているシゲちゃんがいた。
｢シゲ、ちゃん？｣
声をかけても、うーっていうだけで返事をしてくれない。
｢え、どしたの？｣
｢冬眠｣
｢……いま秋だけど｣
｢ひと足お先に冬眠。おつかれ！｣
｢いやわたし冬眠しないし。て、こらこら目をつぶらない｣
｢Aうるさいし、ねる｣
｢寝るならベッドにしなよぅ。どうせならきちんとしたとこでたくさんねな、さい、よっ｣
って言いながらシゲちゃんを引っ張ってみるけど、重くて全然動かない。
｢動かざること山の如し｣
｢風林火山！ ……じゃないのよ、どうしたの？｣
｢どうもしないし｣
｢もうー｣
動かないシゲちゃんにおおいかぶさってみた。
あったかいな。寒がりだからむくむくたくさん服着て、毛布も足にかけてるし。
シゲちゃんの髪に触れて頬に触れて、そっとくちづけてみた。
シゲちゃんは案外おとなしくされるがままになっている。
｢……このままだとわたしに襲われちゃうけどいいんですか？｣
｢それは困る｣
ってやけにはっきり言って、
シゲちゃんは両手をのばしてわたしをだきしめた。
｢Aーーー｣
｢はいよ｣
｢Aーーーーーー｣
｢なによ｣
｢呼んだだけ｣
｢なんなのよーーー｣
｢声が好き｣
｢な、なによ急に｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：由乃 | 作成日時：2020年10月27日 11時
