ねても夜......Ｓ.Ｋ ページ4
目が覚めたら、目の前が暗かった。
遮光カーテンてすごいな！！
たぶん朝なのに真っ暗だ！！
もぞもぞして身体を回転させる。
いた。
目を閉じて、眠り姫みたいにきれいなお顔なシゲちゃんが、すぅすぅ寝息を立てている。
｢ねぇ、シゲ、シゲー｣
ちいさく声をかけると、一瞬眉間にシワを寄せたあと、ぱっと目を開けた。
｢んんー、A、起きたの？｣
｢うん、よく寝たよー。まだ朝だよねぇ？｣
｢ふふふ、わかんねえよな暗いと｣
｢そうなんだよー、遮光カーテンの威力を思い知ったよ｣
｢だろ？｣
って、なんでかえらそうなシゲちゃん。なぜあなたがいばるのよ。
｢Aはぐっすり眠れた？｣
｢うん｣
｢よかった｣
うれしそうな顔で微笑んで、ぽんぽん、て頭をたたいてくれる。
｢最近A頑張りすぎてたから、夜をいっぱいあげたかったんだよな｣
｢え、詩的｣
｢いやあ、根っから作家で申し訳ない｣
ボケてますボケてますの表情。ふざけてるシゲちゃんて、すんごく可愛い。
｢作家さん、もう朝ごはんにしてもいいですか？｣
｢ん？ あ、ちょっと待った待った、俺が作るからAは寝てて！｣
｢えーでも｣
｢いいから！｣
そういって、もぞもぞ起き上がる。ちょっとめくれちゃったスウェットがセクシーだー。
｢Aはー、自分の体調ちゃんと考えなさいよね。俺が忙しいなぁと思うくらいなんだから、あなたなかなかの忙しさだったよ？｣
｢う、はーい｣
珍しい、過保護シゲちゃん。
なでなで、ってわたしの頭を撫でてからベッドをおりる。
そんなにわたし、忙しかったかしら？
……忙しかったな。
ほとんど寝てないも同然で働いてた。
｢シゲちゃん特製の朝ごはんお待ちなさいよ｣
｢わーい、それうれしいな｣
たくさん寝て。
ごはんもつくってもらって。
それで、大好きなひとが優しくしてくれる。
ここは天国かな。
……シゲちゃんがいてくれるところならどこでも、天国だなぁ。
｢ねぇ、ちょっと待って｣
キッチンに行こうとするシゲちゃんのスウェットのはしっこを握って、呼び止める。
｢なに？｣
｢やっぱりもうちょっと、シゲちゃんと、一緒にいたい｣
｢えっ｣
真っ暗ななかでもわかるくらい赤くなって、シゲが戻ってくる。
シゲちゃんのからだ、ギューって抱きしめて、言った。
｢シゲちゃんが隣にいてくれたら、ぜーんぶ快復できるんだ｣
｢……そういう素直なとこ、見習いたいけど無理なんだよなぁ｣
呟いて、シゲちゃんがちゅっ、って、耳元にキスしてくれた。
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作者名：由乃 | 作成日時：2020年10月27日 11時
