検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:377,321 hit

二人っきりの車内 Sho ページ22

.



.


『もう……、夜か。』




移動の車内でため息を吐けば


その余韻がやけに響き


逆に自分自身の疲労が際立ってしまう。





窓の外に目をやれば


街並はバレンタイン一色で…。





仕事に忙殺される毎日だけれど


こうした風景を眺めるとAのことが


無性に恋しくなる。






『……』





Aは、どうしてるんだろうか。


連絡をしようと思って


メールの作成画面を開くけど


どうも言葉がまとまらない。









メールをするくらいなら声が聞きくなる。


電話をすれば、早く帰りたくなる。


早く帰れば、触れて抱きしめたくなる。





俺の想像は勝手に溢れ出して…




『ふーっ……、』





俺は長い息を吐き出して、苦笑した。


駄目だ、考えたら会いたくなる。




まだこの後、打ち合わせがあるんだよ…


きっと、今夜も夜中過ぎの帰宅だよなぁ…


そんなことを考えてたら


ちょうど通話を終えたマネージャーが


話しかけて来た。






「あ、櫻井さん…今日はこれで仕事終わりになりました」



『へ?』



「事務所から今、聞いたんですけど
松永さんの具合が悪いそうで…」



『……そうなんだ』




本当はこの後、歌の祭典で一緒に司会を務める


松永さんと打ち合わせ予定だったけど


どうやら、また後日改めて…となったらしい。




「まあ、久しぶりに早く帰って、
ゆっくり休んで下さい」





意味ありげに俺を見るマネージャーを


無視しようと思いつつふわふわとした声で


“おかえり、翔ちゃん”って


迎えてくれるAを思い出したら


なぜか、口の端が緩むのを感じた。





「あ、今…笑いました?」



『…笑ってません。』



「笑いましたよ、今見ましたから…」



『いちいちうるさいよ、…ったく。』





マネージャーの視線から逃れるように


俺は意味なく、カバンの中身を確認するフリをしてうつむいた。





「櫻井さん…」



『ん?』



「しばらくぶりに僕もAさんに会って
行こう…かな」



『会わせるつもりないし、
会う意味がわからない』



「いいじゃないですか」



『ダメ』



「…ケチ」



『は?今、ケチって言った?』





ゆっくりと顔を上げてそう言えば、


マネージャーは、また俺をからかうみたいに笑った。








.

最悪な状況 Sho→←歌番組 Sho



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (700 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
774人がお気に入り
設定タグ: , , ミイ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ミイ | 作成日時:2014年9月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。