342 . 心が泣いてる ページ2
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"今から出かけれる?"
「や、今日は…、」
“ じゃあ、ちよっと行ってもいい?”
「え、それも…ちょっと無理かな。」
“A?”
「…な、なに?」
バカみたいに
私の名前を呼ぶ
翔ちゃんを思い出していた…。
"今日は忙しいの?"
「うん、ちょっといろいろと…
家のこととかあって」
“なぁ…A?”
「ん?」
.
.
"お前、泣いてるの?"
「…、」
泣いてなんかいないよ、
何言ってんの、バカじゃない?
そう笑いながら言おうとした言葉は
喉でつかえて出て来ない。
泣いちゃ…ダメ。
泣くな。
私はぐ、っと傷ついた手を握りしめて
「泣いてなんか、ないよ。」
"そっか。じゃあ、きっと…"
「……」
“ お前の心が泣いてるんだ。"
そう言われた瞬間、
私の心の中の何かが弾けてあふれだした。
じわじわと目に熱が上がってきて
しずくがまつ毛を濡らす。
私は泣いてるのがバレないよう
唇を噛み締めた。
"もしもし?"
「…っ、もし、もし…」
"今からそっち行くから
とりあえずちゃんと家にいろよ?"
「…、」
"返事は!"
「は、はい…」
鼻をすすりながらそう返事をする私に
修くんは小さく笑ってから電話を切った。
修くんがこれから来るとわかっていても
私の流れ出した涙は止まらなくて
本当にイヤになる。
はあ、とため息をはいたら
足元にいるチロが心配そうに私を見上げた。
「チロ、翔ちゃんに会いたいな…」
そう思っても
自分から連絡する勇気もない私は
やっぱりどうしようもない弱虫。
ポタリ、と手に落ちた涙が冷たかった。
チロがまた心配そうに
その手を舐めてくれて
そのあたたかな感触を確かめるように
チロをそっと抱き寄せた。
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作者名:ミイ | 作成日時:2013年9月11日 20時