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222 . ナンパ? ページ22

.


行き先も告げぬまま

走らせたタクシーは

結局、家から二つほど離れた駅で下りた。





幸せそうに手を繋いで歩く恋人達を見て

虚しい気持ちが心を覆い尽くす。

ぎゅっと心臓を掴まれたように胸が痛み出す。





「もう…イヤだ…」




マイナスの言葉を口にした途端

抑えきれない涙がポタポタと落ちた。




美織さんがどうして

私達の部屋にまで来たのかわからないし

あの時の光景が頭から離れない…




ふわりと微笑みを浮かべ

翔ちゃんの首に腕をまわしてキスする彼女。




まるで彼女の方が

本当の彼女なんじゃないかと

思わせるほどの態度を見せられ

逃げてしまった私は

なんて情けないんだろう。





でも、今頃あの部屋で

二人で楽しく笑ってるかもしれない





Aに話す手間がはぶけてよかったねとか

やっぱり美織が一番だよとか言って

さっきみたいに抱き合ってるのかも…





そう思うとますます涙が出てきた。




最終電車が出た駅の周辺は

人もまばらになり

こんなところで泣いてる私ってバカみたい。





これからどうしょう…

とりあえずさおに電話して泊めてもらう?

だけど、さおのところは両親が一緒だし

こんな夜中に私が転がり込んだら

おじさんとおばさんに迷惑かけちゃうよね…。


.



本当に…今夜…どうしよう。

私って翔ちゃんがいないと

こんなにダメなんだ…






「翔…ちゃん…」





名前を口にした途端

また涙があふれてきて


なるべく他の人から見えないように

ちょっと暗くなった駅の壁に寄りかかって

声を殺して泣いた。



.



.




近づいてきた足音が私の前で止まった。




「……大丈夫?」




男性が声をかけてきた。




ああ…もう、ヤダ…。

こんな時に声なんてかけて来ないでよ…。



「どうしたの…?」


「……」



もう、いいからほっといてよ…

今の私は、いくら寂しくても

見ず知らずの人と

お話しするような気分じゃないから。



顔を覗き込もうとするから

なおさら顔を背けてうつむいた。




「ね?聞こえてる?おーい、Aちゃん?」





自分の名前を呼ばれて

びっくりして顔を上げた。




「…え?」


「…なに、どしたの?」


「…うっ、ぐすっ…」





ニノの顔をみた途端

涙がボロボロ落ちた。




「なに、終電乗り遅れたとか?」



ひくひくと嗚咽を繰り返して

「違っ…あのね…」と言う私の頭を

彼がぽんぽんと撫でるから

また余計に涙が止まらなくなった。

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設定タグ: , 櫻井翔 , ミイ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2013年3月1日 19時

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