ふわふわ。 (ページ4)

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全部の授業が終わって、掃除して、後はHR。
帰宅部の俺は学校が終わったら即座に家に帰る派なので、掃除が終わったら帰る準備をしていた。

有岡先生が教室に帰ってきた。
『ん？』
有岡先生の手には、さっき掃除の時間に渡したはずの日番日誌。

職員室戻った時に置いてこなかったのかな。

｢明日は特にないか。
はーい、じゃあ終わり｣

次の日、特に何も無い日はHRが尋常じゃないぐらい早く終わる。
1分もない。…

〈さよならー。〉
やる気のない礼をして帰ろうとすると。…

『う"ぇっ…』
ブレザーの後ろ襟を掴まれた。

『いってえな！』
と思わず後ろを振り向くと、にやにやと笑っている有岡先生。

｢日誌、書いてないところありましたよー。｣
と言うとずるずると俺を教室に引き戻した。

『んっ！も、歩く歩く！自分で歩くからっ！』
もがくとぱっと手を離してくれた。

｢ん。｣
返された日誌を見ると、…
ほんとだ。…
全然書いてないじゃん。…

『書いてないところってゆーかほぼ書いてねえし。』
今書け、と促されたから先生のペンを借りて、教卓の上に広げて書く。

俺が書いてる間、黒板を綺麗にしている先生。
『、ふ…』
思わず笑っちゃったのは先生のせいだ。

｢何笑ってんだよ。…悪かったな。…｣
身長が低い有岡先生は、黒板の上の方が届きにくいみたいで一生懸命腕を伸ばして綺麗にしていたんだ。

『いや、…やってって言えばいいじゃん。』

俺いるし。

｢何、チビ扱いしてんだよ！別に、頑張れば届くからいーの！｣

うん、頑張らないと届かないんだね。

これ言ったらさすがに怒ると思うからやめとくわ。

今日はたまたま俺がいるから話しながらしてるけど、いつもは1人。
夕焼けに染まった教室で、1人黒板綺麗にしてるんだ。
…綺麗だろうな。

『ん。書けたよ。』
｢おつかれ。…なあ、お前今日なんか急いでる？｣

。
あー。これ、なんか手伝わされるやつだ。
『や、急いでるっす…』
自分でもびっくりするぐらい棒読み。

嘘ついてんのバレるわ、と思ったら
｢ん、そっか。…じゃ、気をつけて帰れよ。悪いけど、教室閉めといてくれる？｣
大きいダンボールを両手に抱えて教室を出ようとしていた。

…先生、疑うってこと知らないのかな。…
そんなに、言われたこと信じちゃだめだよ。

俺が嘘ついたくせに。
有岡先生が心配になる。

『…俺も持つ。』
そう言ってダンボールを奪って、有岡先生と一緒に教室を出た。